多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の重要性を認識しているものの、実際の取り組みにおいては期待通りの成果を得られず、苦戦しているのが現状です。
本記事では、DXが進まない根本的な原因に焦点を当て、その壁をどう乗り越えるべきかを具体的に解説していきます。経営層の理解不足や、現場におけるITリテラシーの課題といった障害を洗い出し、DX推進を実現へと導く実践的なアプローチをご紹介しましょう。競争力の強化に直結するヒントが見つかるはずです。
DX推進の現状は?多くの企業が抱える停滞感の正体
生活面ではスマートフォンやタブレットの普及など、デジタル化が急速に進んでいる日本ですが、企業のDX推進状況は遅れを取っています。このままデジタル化が思うように進まなければ、経済的な損失も懸念されます。
企業の競争力強化や持続的成長のためにDX推進は不可欠です。しかし、多くの企業が停滞している状況が続いています。
意識は高まるも成果に結びついていない
DXとは、デジタル技術を使ってビジネスや日常生活、社会全体を良い方向に変革していく取り組みです。単なるデジタル化ではなく、ビジネスの在り方や生活の仕方を根本から変えるためにIT技術を用いる点がDXの特徴です。
どんなにIT化・デジタル化を進めても、それが良い意味での変革に結びついていなければDX化とは言えません。多くの企業ではDXの重要性は認識されていますが、その本質的な理解が不足しており、表面的なデジタル化だけで満足してしまうケースが多く見られます。
日本企業のDX推進状況は依然として道半ば
IMDが発表する世界デジタル競争力ランキング2024では、日本は前年から1つ順位を上げたものの31位と依然として低迷しています。アジア諸国ではシンガポールが1位に躍進し、国を挙げての取り組みが成功に繋がっているようです。
日本は無線ブロードバンド普及率(2位)やロボットの世界シェア(2位)、ソフトウェア違法インストール率の低さ(2位)などでは高評価を得ている一方、企業の俊敏性(67位)やビッグデータ活用(64位)、デジタルスキルの習得(67位)では最低クラスの評価となっています。
参考:ジェトロ|世界デジタル競争力ランキング、スイスは2位に上昇、日本は31位
DX化が進まない4つの大きな原因とは?
企業におけるDX推進は、経営層の理解不足、人材確保の困難さ、予算の壁、ITリテラシー不足など、複合的な要因が絡み合っています。
これらの課題を解決できなければ、2025年には最大12兆円の経済損失が生じるとされており、企業には迅速な対応が求められています。
参考:経済産業省|D X レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~
経営層の理解不足!推進体制が確立できていない
DXはデジタル化自体が目的ではなく、企業の競争力を高めるための手段です。しかし多くの企業では経営層のDX理解が不足しており、その本質や必要性を誤解しているケースが少なくありません。
DXのビジョンや経営戦略が不明確だと、推進メンバーは施策を立案できず、社内の意思統一もできません。経営層のリーダーシップ不足がDX推進の大きな障壁となっています。
人材が社内に不足している
DX推進には専門的な知識やスキルを持つ人材が不可欠ですが、こうした人材は市場全体で不足しています。経済産業省の「情報通信白書」によると「デジタル化を進める障壁が人材不足」と感じる企業は67.6%に達しています。
さらに、IT人材は2030年に40〜80万人規模で不足すると予測されています。特に一般的な事業会社では、システム要件の見極めやデジタル技術の開発・運用ができる人材が少ないです。
また社内で教育できる人材もいないDXを主導できる人材の採用や育成が追いついていないのが現状です。
参考:経済産業省|情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~
予算確保の壁!投資対効果が見えず経営判断ができない
DX推進には高額な初期投資が必要となります。多くの企業は「攻めのIT投資」への意欲はあるものの、現状では「守りのIT投資」が中心となっています。「攻めのIT投資」とは新しいビジネス施策のための投資、「守りのIT投資」は現行ビジネス維持のための投資です。
既存システムの維持コストが高額なため、DXという新たな取り組みに予算を投じられない企業が多いのです。また、DXは業務プロセスやビジネス全体の大規模な変革を伴うため、短期的な投資対効果が見えにくく、経営判断が困難という課題もあります。
社員のITリテラシー不足!ツールが使いこなせない
DXでは導入したITツールが現場で実際に活用されなければ効果が出ません。しかし社員のITリテラシー不足により、せっかくのツールが活用されないケースが多発しています。営業支援ツールを導入しても使いこなせる社員が少なく、業務改革につながらないという状況です。
また「既存事業が忙しく、協力体制を敷けない」という、DX担当者の業務負担が大きいことも課題です。多くの企業では新しいツールや働き方に適応するための時間と理解が不足しています。
DX化を成功させる基本ポイント3つ
DX推進が様々な障壁に直面する中、成功へと導くための鍵となる基本ポイントがあります。経営陣のリーダーシップ、段階的な推進アプローチ、そして人材の確保と育成です。これらの要素をバランスよく組み合わせることで、DX推進の成功確率を高めることができます。
多くの企業がDX化に苦戦する中、ポイントを押さえることが競争力強化への近道となるでしょう。
①経営陣主導で全社的な意識改革を推進する
DXは単なるデジタル技術の導入ではなく、業務やビジネスモデル、組織文化までを変革する取り組みです。経営陣がDX推進の意義を本質的に理解し、自らの言葉で「なぜ自社でDXが必要か」を説明できることが重要です。
中長期的なビジョンを描き、必要な人材・予算の配分を決定しましょう。また全社DX推進組織を設置し、各事業部門を支援する体制を構築することで、部門を超えた統一的な推進が可能になります。経営陣が繰り返しDXの重要性を発信し、従業員の意識改革を促すことが成功への第一歩です。
②スモールスタートで実行する
DX推進は段階的に進めることが成功の鍵です。全社規模の成果が出るまでには通常5年程度かかるため、いきなり大規模な変革に取り組むと反発を招きやすくなります。まずは短期間で成果が出やすい取り組みから始め、小さな成功体験を積み重ねましょう。
アナログデータのデジタル化やデータの一元管理、一部業務の自動化などが効果的です。一部の部署や業務での成功事例を作り、その効果を社内に広く共有することで、他部門の理解と協力を得やすくなります。
③人材の育成や外部の企業と連携し専門知識を補完する
DX推進には、テクノロジーと経営戦略の両方に精通した人材が必要ですが、多くの企業ではこうした人材が不足しています。
市場全体でDX人材の争奪戦が起きているため、短期的には外部の専門家や企業と連携し、並行して社内人材の育成を進める「二軸アプローチ」が有効です。
特に重要なのは「つなぐ人材」の育成です。現場を熟知しつつもデジタルの基礎知識を持ち、現場のニーズをIT部門や外部パートナーに的確に伝えられる人材がDX成功の鍵を握ります。
DX推進を加速させる具体的な5ステップ
DX推進を効果的に進めるには、体系的なアプローチが重要です。ビジョンの明確化から実行、改善サイクルまでの一連のステップを押さえることで、DX推進の成功確率が高まります。
多くの企業がDX推進で躓く中、これらのステップを踏むことで、確実に成果につなげられるでしょう。ここでは具体的な5つのステップについて解説します。
①課題の可視化で目的を設計し明確なゴールを設定する
DX推進の第一歩は、現状把握と目的設定です。業務プロセスや既存システムの洗い出しを行い、現場の課題を可視化しましょう。この際、経営戦略に結びついた具体的な目標を設定することが重要です。
「なぜDXに取り組むのか」「どのような状態を目指すのか」を明確にし、経営陣から現場まで共有できる形にします。経済産業省の「DXレポート」などのフレームワークを活用すると、業務、製品/サービス、ビジネスモデルのそれぞれをどの程度デジタル化するかの指針が立てやすくなります。現状と目標のギャップを分析することで、取り組むべき課題の優先順位も明確になります。
②デジタルツールの選定と導入計画を策定する
目的と課題が明確になったら、それを解決するための適切なデジタルツールを選定します。自社の目的や業務に合った最適なツールを選ぶことが成功の鍵です。ツール選定の際は、現場のニーズ、使いやすさ、拡張性、コスト、サポート体制などを総合的に評価しましょう。
また、一度にすべてを導入するのではなく、優先度をつけて段階的に導入する計画を立てることが重要です。まずは成果が出やすく導入難易度が低いものから着手し、小さな成功体験を積み上げていくのが効果的です。
導入にあたっては、業務プロセスの見直しも同時に行い、単なるデジタル化ではなく、業務改革を伴うものにすることがDXの本質です。
③DX推進チームを編成する
経営陣直轄のプロジェクトチームを編成し、ビジョンや戦略を社内に浸透させる役割を担わせましょう。理想的なチーム構成には、プロジェクトマネージャー、システム設計を担当するテックリード、UI/UXデザイナー、エンジニア、データサイエンティストなどが含まれます。
社内にこうした人材がいない場合は、外部パートナーとの連携も検討しましょう。ただし、プロジェクト全体の統括は自社の事業や文化を理解している社内人材が担当することが望ましいです。
また、現場と経営層、IT部門をつなぐ「つなぐ人材」の配置も重要です。DX推進チームには明確な権限を付与し、部門を超えた連携がスムーズに行える環境を整えましょう。
④従業員の教育でITリテラシー向上を図る
DXの成功には全社的なITリテラシーの向上が欠かせません。まずは従業員のITスキルレベルを測定し、現状を把握することから始めましょう。
その上で、階層や役割に応じた研修プログラムを設計します。経営層向け、管理職向け、一般社員向けなど、それぞれに必要な知識とスキルは異なります。特に重要なのは、DXを「自分ごと」として捉え、主体的に取り組む意識を醸成することです。
研修だけでなく、実際のプロジェクトへの参加を通じた学びの機会も効果的です。IT知識だけでなく、データ分析や新しい働き方への適応力も育成しましょう。また、DXスキル習得によるキャリアパスを明示することで、従業員の学習意欲を高めることも大切です。
⑤改善サイクルを回しながら全社展開を進める
DX推進はツール導入で終わりではなく、継続的な改善が不可欠です。デジタル化により収集したデータを活用して、業務プロセスやサービスを継続的に改善するPDCAサイクルを確立しましょう。「計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Action)」のサイクルを数ヶ月単位で繰り返すことで、DXの効果を最大化できます。
まずは特定の部署や業務での成功事例を作り、その効果や学びを全社に共有しながら、段階的に展開範囲を広げていくアプローチが効果的です。定期的に進捗や成果を可視化し、全社で共有することで、DXへの理解と協力を促進できます。また、環境変化や新たな技術トレンドに応じて戦略を柔軟に見直すことも重要です。
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これにより、現場は本来注力すべき業務に集中でき、生産性の向上が期待できます。また、業務の属人化を防ぎ、変化に強い柔軟な組織づくりにも貢献。コスト削減や競争力強化など、経営面でも大きなメリットをご提供します。
まとめ|原因を理解し適切なステップで着実に進めよう
DX推進の停滞には経営層の理解不足、人材不足、予算確保の難しさ、ITリテラシー不足という4つの大きな原因があります。これらを解決するためには、経営陣主導での意識改革、スモールスタートでの実践、人材育成と外部連携の強化が必要です。
計画的に5つのステップを踏みながら進めることで、DXは着実に進展します。自社の課題を正確に把握し、それに合わせた適切な戦略を立てることが、DX推進を成功に導く鍵となるでしょう。