企業の経営において、コスト削減は常に重要な課題です。特に人件費や設備費など、事業を継続するうえで欠かせない固定費は、経営を圧迫する大きな要因となることがあります。そこで注目されているのが、業務の「外注化」です。外注化と聞くと、「手間がかかる」「かえって費用が増えるのでは」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、適切な業務を外部の専門家に依頼することは、単なるコスト削減にとどまらず、企業の成長を加速させる戦略的な手段となり得ます。
この記事では、外注化がコスト削減にどのように貢献するのか、その具体的な方法や成功のポイントについて詳しく解説します。自社のコスト削減を検討してる方はぜひ参考にしてください。
外注化がコスト削減につながる3つの理由
外注化は、単に業務を外部に委託することだけではありません。コスト構造そのものを根本的に見直すきっかけとなります。コスト構造を見直したことで、余分な費用の削減が期待できるでしょう。
外注化がコスト削減につながる理由は主に次のとおりです。
- 人件費を削減できる
- 設備投資や維持費の削減
- 専門家活用による生産性の向上
外注化がコスト削減を実現する主な3つの理由について詳しく見ていきましょう。
1.人件費を削減できる
外注化がもたらすメリットのひとつが、人件費の削減です。正社員や契約社員を雇用する場合、給与や賞与だけでなく、社会保険料や福利厚生費、交通費など、さまざまな付帯コストが発生します。これらの費用は固定費として毎月必ずかかりますが、外注化すれば、必要な業務を必要な時だけ依頼できるため、費用を変動費化できるでしょう。
さらに、正社員の採用活動にかかる広告費や面接の手間、入社後の研修費用なども削減できる場合があります。企業が従業員を採用する際はさまざまな費用が発生し、株式会社リクルートの発表によれば、正社員の採用にかかった平均費用は2019年で93.6万円でした。2018年は71.5万円だったため、企業によっては大きな負担になりかねません。
外注化により採用費用をはじめとした人件費を削減すれば、企業の財務状況をより柔軟に、そして効率的に管理することが可能になります。
2.設備投資や維持費の削減
特定の業務を自社で行うためには、専用のソフトウェアや高価な機材、作業スペースなどを確保しなければなりません。例えば、動画編集を内製化するには、高性能なPCや編集ソフトが必要になりますし、経理業務を自社で行うには、専用の会計システムを導入しなければなりません。これらの設備投資は初期費用だけでなく、その後のメンテナンスやバージョンアップにも費用がかかることがあります。
しかし、外注化すれば、すでに必要な設備を保有している外部の専門家に依頼するため、これらのコスト負担を抑制可能です。結果として、初期投資を大幅に抑え、企業のキャッシュフローを改善できます。
3.専門家活用による生産性の向上
外注化は、単純なコスト削減だけでなく、業務の生産性を向上させることで間接的なコスト削減にもつながります。特定の業務に精通したプロフェッショナルに依頼することで、社内では実現が難しい高品質な成果物を短期間で得られる可能性があるでしょう。
例えば、Webサイト制作やマーケティング活動を専門家へ依頼すれば、未経験者が試行錯誤するよりも効率的に目標を達成可能です。また、外注によって生まれた時間的余裕を、社員が企業のコア業務や新規事業の企画など、より付加価値の高い仕事に集中させることで、企業全体の生産性向上が期待できます。
外注化で削減できる具体的なコスト項目
外注化によって削減できるコストは従業員に支払う給与やボーナスだけではありません。以下のような項目も削減可能です。
- 社会保険料・福利厚生費
- 交通費・通信費
- 研修費用・セミナー参加費用
ここでは外注化で削減できるコストの項目を詳しく解説します。企業によってどのような項目のコストを削減したいかは異なるため、外注化によって自社でどのようなコストを削減できるか確認しておきましょう。
社会保険料・福利厚生費
従業員を雇用すると、企業は社会保険料を一部負担する必要があります。これらの費用は、従業員の給与に比例して増加するため、従業員数が増えるほど企業側の負担も大きくなります。また、住宅手当や社員旅行、健康診断費用など、福利厚生にかかる費用も少なくありません。
外注化すれば、これらの社会保険料や福利厚生費を支払う必要がなくなります。これにより、人件費全体を削減できる可能性があるでしょう。福利厚生は従業員の満足度にもつながりますが、外注先のサービスを活用することで、同様の効果を低コストで得られる場合もあります。
交通費・通信費
オフィスに出社する従業員がいる場合、企業は通勤手当などの交通費を支給するのが一般的です。また、業務で使用する携帯電話やインターネット回線など、通信費も企業が負担することが多いです。しかし、外注先は自社とは異なる場所で業務を行うため、これらの交通費や通信費を企業が負担する必要はありません。
特に、リモートワークが普及している現在、外注化は交通費や通信費の削減に直結する可能性があります。これらのコストは一つひとつは小さく見えますが、従業員数が増えるにつれて累積的な負担となるため、削減効果は無視できないでしょう。
研修費用・セミナー参加費用
新しい業務やスキルを社内に取り入れるためには、社員教育や研修が欠かせません。外部講師を招いたり、社員をセミナーに参加させたりする費用は、決して安くありません。また、その効果がすぐに現れるとは限らず、投資対効果が低い場合もあります。
しかし、外注化すれば、すでにその分野の専門知識やスキルを持った人材に業務を依頼できます。自社で人材を育成するための時間やコストをかける必要がなく、即戦力として業務を任せることが可能です。これにより、研修費用やセミナー参加費用を削減できるだけでなく、業務の質を維持しながらコスト効率を高められるでしょう。
外注化のデメリットと注意すべきポイント
外注化はコスト削減の有効な手段ですが、メリットばかりではありません。デメリットや注意点を理解したうえで進めないと、かえってトラブルや無駄なコストを招くこともあります。
具体的には以下のような点に注意しましょう。
- コミュニケーションコストの増加
- 情報漏洩のリスク
- 品質管理や納期の調整が難しくなる
- ノウハウが社内に蓄積されにくい
ここでは、外注化の主なデメリットと注意点について解説します。
コミュニケーションコストの増加
外注化すると、業務の進捗確認や要件定義など、外部のパートナーとの綿密なコミュニケーションが不可欠となります。社内メンバーと比べて、連絡や調整に時間がかかったり、認識のずれが生じたりする可能性も考えられるでしょう。
例えば、依頼内容の細かなニュアンスが伝わらなかったり、進捗状況が見えにくかったりすることがあります。これらのコミュニケーションにかかる手間や時間が、新たなコストとして発生する可能性があるため、注意が必要です。事前の打ち合わせでしっかりと要件をすり合わせ、定期的な報告体制を構築するなど、工夫が求められます。
情報漏洩のリスク
企業の機密情報や顧客情報など、重要なデータを外部に渡す場合、情報漏洩のリスクが伴います。悪意のある情報流出だけでなく、外注先の管理体制が不十分であったり、うっかりミスで情報が漏れてしまったりする可能性も否定できません。このリスクを最小限に抑えるため、事前に外注先のセキュリティ対策や実績を十分に確認することが大切です。
また、契約時には必ずNDA（秘密保持契約）を締結し、万が一の事態に備える必要があります。信頼できるパートナー選びが、情報セキュリティの観点からも欠かせません。
品質管理や納期の調整が難しくなる
外注先は、自社の社員ではないため、業務に対する理解度や品質への意識が異なる場合があります。そのため、期待していた品質に達しなかったり、納品物の修正が必要になったりすることがあるかもしれません。また、複数のクライアントを抱えている外注先の場合、予期せぬトラブルで納期が遅れてしまう可能性も考えられます。
これらの問題を避けるためには、依頼する業務内容を具体的に言語化し、品質の基準や納期を明確に定めておきましょう。定期的な進捗報告を求めたり、マイルストーンを設定したりすることで、リスクを軽減可能です。
ノウハウが社内に蓄積されにくい
外注化は、外部の専門スキルを効率的に活用できる反面、その業務に関するノウハウが社内に蓄積されにくいというデメリットがあります。例えば、Webマーケティングを外注した場合、社内にはノウハウを持つ人材が育たず、長期的に見ると自社でマーケティング戦略を立てることが困難になる恐れがあるでしょう。
外注先との契約が終了すると、それまで培った経験や知識が失われてしまうリスクも考えられます。そのため、外注する業務と自社で内製化する業務のバランスを考慮し、将来を見据えた戦略的な判断が求められます。
外注化によるコスト削減を目指すなら『CLOUD BUDDY』にご相談ください
外注化によってコスト削減を目指しているのであれば、『CLOUD BUDDY』にご相談ください。『CLOUD BUDDY』は定型的な業務、非定型の業務どちらの外注化にも対応しています。
『CLOUD BUDDY』は初期費用は発生せず、月額の稼働時間に応じた費用だけが発生します。そのため、予算をコントロールしやすく、貴社業務の繁閑に合わせて契約稼働時間を変更できるのも特徴です。マネジメントは不要なため、自社の従業員の負担も軽減可能です。
まとめ｜外注化で余分なコストを削減しよう
外注化は、単なるコスト削減ではなく、企業の成長を加速させるための戦略的な選択です。人件費や設備費、研修費など諸費用を削減できるだけでなく、コア業務に集中できることで、生産性を向上させる効果も期待できます。
しかし、コミュニケーションや情報漏洩などのリスクも存在するため、メリットとデメリットをしっかりと理解したうえで、慎重に進めることが重要になります。また、万が一、外注化を終えたときに、自社の従業員にスキルが備わっていないというリスクも考えられるでしょう。
この記事で解説したポイントを参考に、自社の課題を明確にし、最適な業務を外注化することで、余分なコストを削減し、企業の競争力向上を目指しましょう。
