企業の事務部門では、データ入力や転記作業、請求書処理といった定型的な業務が日々繰り返されています。こうした作業は企業運営に欠かせない一方で、人手と時間を要するため、担当者の負担が大きくなりがちです。
人手不足が深刻化する中で、限られた人員で業務をこなすには、効率化が急務になっているでしょう。そこで注目されているのが、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を活用した事務作業の自動化になります。
本記事では、事務作業自動化の必要性を整理した上で、RPAを活用して自動化を進める具体的な手順を詳しく解説していきます。
目次
Toggle事務作業自動化の必要性を改めて整理する
事務作業の自動化が求められる背景には、企業を取り巻く複数の環境変化があります。人手不足の深刻化、働き方改革の推進、業務の複雑化といった要因が重なり、従来のやり方では事務部門の生産性を維持することが困難になっているのが現状です。
ここでは、事務作業自動化の必要性を5つの視点から詳しく整理していきます。
人手不足・残業時間の削減ニーズ
少子高齢化が進む日本では、あらゆる業界で人手不足が深刻化しており、事務部門も例外ではありません。特に中小企業では、事務担当者を新たに採用することが難しく、既存の社員が過重労働を強いられるケースも少なくないでしょう。
また、働き方改革の推進により、残業時間の削減が企業の重要な課題になっています。事務作業の多くは定型的で繰り返しの多い業務であるため、こうした作業に多くの時間を費やしていると、残業時間が増加する原因になります。
RPAを活用して定型業務を自動化することで、人手に頼らずに業務を処理できる仕組みが構築でき、人手不足の解消と残業時間の削減を同時に実現できるでしょう。人手不足と残業削減という二つの課題に対応するため、事務作業の自動化は必須の取り組みになっています。
ミス・属人化リスクの高まり
事務作業を手作業で行う場合、どうしてもヒューマンエラーが発生するリスクがあります。データの入力ミスや転記ミス、計算ミスといった問題は、後からの修正に時間がかかるだけでなく、取引先や顧客に迷惑をかける可能性もあるでしょう。
また、事務業務が特定の担当者に依存している状態、いわゆる属人化も大きなリスクになります。担当者が休んだり退職したりすると、業務が滞ったり、引き継ぎに時間がかかったりするケースも少なくありません。
RPAを導入することで、こうしたミスや属人化のリスクを軽減できます。ロボットは設定されたルール通りに正確に作業を実行するため、人的ミスが発生しにくくなるでしょう。ミスと属人化というリスクを低減するために、事務作業の自動化は重要な対策になります。
定型作業にかかるコストの見える化
事務作業の自動化を検討する際、定型業務にどれだけのコストがかかっているかを可視化することが重要です。データ入力や転記作業、請求書処理といった定型業務は、一つひとつの作業時間は短くても、積み重なると膨大な時間とコストになります。
例えば、月に100件の請求書を処理する場合、1件あたり10分かかるとすると、月に約17時間、年間で約200時間が請求書処理に費やされていることになるでしょう。この時間を人件費に換算すると、相当な金額になります。
こうしたコストを可視化することで、RPAを導入した場合の費用対効果が明確になり、投資判断がしやすくなります。定型作業にかかるコストを正確に把握し、自動化による削減効果を定量的に示すことで、経営層の理解も得やすくなります。
デジタル化・業務革新の潮流
企業のデジタル化や業務革新が加速する中で、事務作業の自動化もその一環として位置づけられています。DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する企業が増えており、業務プロセスをデジタル化することで競争力を高める動きが活発になっているのが現状です。
RPAは、こうしたデジタル化の重要な要素の一つであり、既存のシステムやアプリケーションを変更せずに自動化を実現できる点が評価されています。また、AIやクラウドといった先進技術と組み合わせることで、さらに高度な業務革新が可能になるでしょう。
例えば、AIを活用した文書の自動分類や、クラウドシステムとの連携による情報共有の効率化といった取り組みが進んでいます。事務作業の自動化は、単なる効率化にとどまらず、企業全体のデジタル化と業務革新を推進する重要な施策になります。時代の潮流に乗り遅れないためにも、自動化への取り組みは急務といえるでしょう。
事務部門こそRPA導入に向いている理由
事務部門は、RPA導入に最も適した領域の一つといえます。その理由は、事務業務の多くが定型的で繰り返しが多く、ルール化しやすい特性を持っているためです。データ入力や転記作業、請求書処理、経費精算といった業務は、明確な手順に従って処理されるため、RPAで自動化しやすいでしょう。
また、事務業務は複数のシステムやアプリケーションを使用するケースが多く、システム間のデータ連携が必要になります。RPAは既存のシステムを変更せずに、画面操作を自動化できるため、システム改修のコストや時間をかけずに導入できる点がメリットです。
さらに、事務部門の業務は処理件数が多く、自動化による効果が数値で測定しやすい点も特徴になります。月に何百件も発生する定型業務を自動化すれば、削減された工数や時間を明確に示せるため、投資対効果を説明しやすいでしょう。こうした理由から、事務部門はRPA導入の第一候補になります。
RPAを活用して事務作業を自動化する手順
RPAを活用して事務作業を自動化する際には、計画的に段階を踏んで進めることが成功の鍵になります。いきなり大規模な自動化に取り組むと、失敗のリスクが高まり、現場の混乱を招く可能性もあるでしょう。適切な手順を踏むことで、効果的かつ確実な自動化が実現できます。
ここでは、RPAを活用した事務作業の自動化を進める際の5つのステップを詳しく解説していきます。自社の状況に合わせて、これらの手順を参考に進めていきましょう。
自動化対象業務の棚卸しを行う
RPA導入の第一歩は、自動化の対象となる業務を洗い出すことです。事務部門で日常的に行われている業務を全てリストアップし、それぞれの業務について、頻度、処理時間、担当者、使用するシステムといった情報を整理しましょう。
また、どの業務が自動化に適しているかを見極めることも重要です。RPAに適した業務の特徴としては、定型的で繰り返しが多い、ルールが明確である、処理件数が多い、複数のシステムをまたぐ、といった点が挙げられます。例えば、データの転記作業や請求書の処理、在庫チェックといった業務は自動化に適しているでしょう。
一方、判断が必要な業務や例外処理が多い業務は、自動化の難易度が高いため、後回しにすることも検討すべきです。業務の棚卸しを行うことで、自動化による効果が高い業務を特定でき、優先順位をつけて計画的に進められるようになります。
適切なRPAツール・ベンダーを選定する
自動化対象業務が明確になったら、次は適切なRPAツールとベンダーを選定します。市場には多くのRPAツールが存在し、それぞれ特徴や得意分野が異なるため、自社のニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
ツール選定の際には、操作の容易性、対応可能な業務範囲、既存システムとの連携性、ライセンス料金、サポート体制といった観点から比較検討しましょう。特に、プログラミング知識がなくても操作できるツールを選ぶことで、現場の事務担当者が自らロボットを作成できるようになり、導入のハードルが下がります。
また、ベンダーの選定も重要です。導入支援や運用サポートが充実しているベンダーを選ぶことで、初めてのRPA導入でも安心して進められるでしょう。さらに、無料トライアルやデモンストレーションを活用して、実際の操作感や自社の業務への適用可能性を確認することも大切です。適切なツールとベンダーを選ぶことが、RPA導入成功の鍵になります。
パイロット実証(スモールスタート)を実施する
RPAツールとベンダーが決まったら、いきなり全社展開するのではなく、パイロット実証として小規模に試験導入することが推奨されます。特定の業務や部署に限定して試験的にRPAを導入し、実際の効果や課題を検証するアプローチが効果的です。
例えば、まずは請求書の処理業務だけを自動化し、うまくいったら経費精算や在庫管理といった他の業務にも展開していく方法が考えられるでしょう。パイロット実証のメリットは、リスクを最小限に抑えながら、実際の運用で得られた知見を次の展開に活かせる点にあります。
また、小規模な導入であれば、予算も抑えられるため、費用対効果を検証しやすくなります。パイロット実証中は、ロボットの動作が正確か、処理時間がどれだけ短縮されたか、エラーが発生しないかといった点を細かく確認しましょう。成功事例を社内で共有することで、RPA導入に対する理解と協力も得られやすくなります。
運用・保守体制・スキル育成を整える
パイロット実証が成功したら、本格的な運用に向けて、運用・保守体制とスキル育成の仕組みを整える必要があります。RPAは導入して終わりではなく、継続的な運用と保守が必要になります。ロボットが正常に動作しているかを監視し、エラーが発生した際には迅速に対応できる体制を構築しましょう。
また、業務プロセスやシステムが変更された場合には、ロボットの設定を修正する必要があるため、保守担当者を明確にしておくことが重要です。さらに、社内でRPAのスキルを持つ人材を育成することも大切になります。外部ベンダーに全てを依存すると、コストが高くなるだけでなく、迅速な対応が難しくなるため、社内にロボットを作成・修正できる人材を育てることが望ましいでしょう。
ベンダーが提供するトレーニングプログラムを活用したり、社内勉強会を開催したりすることで、スキルの底上げを図れます。運用体制とスキル育成を整えることで、持続可能なRPA活用が実現できます。
KPI・効果測定と改善サイクルを回す
RPA導入後は、効果測定と継続的な改善を行うことが重要です。導入前に設定したKPIをもとに、自動化によってどれだけの効果が得られたかを定期的に測定しましょう。処理時間の短縮、人的工数の削減、ミスの発生件数の減少といった指標を確認します。
また、現場の担当者からフィードバックを収集し、ロボットの動作に問題がないか、改善してほしい点がないかを把握することも大切です。こうした情報をもとに、ロボットの設定を調整したり、新たな業務の自動化を検討したりすることで、より効果的な運用が可能になるでしょう。
さらに、自動化による効果を定量的に示すことで、経営層への報告や次の投資判断にも活用できます。RPAは一度導入して終わりではなく、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善を重ねることで、真の効果が発揮されます。効果測定と改善を習慣化することで、事務部門全体の生産性向上につなげていきましょう。
事務作業のRPA自動化は『CLOUD BUDDY』へご相談ください
事務作業のRPA自動化を進める際、どの業務から着手すればよいか、どのツールを選ぶべきか、どのように運用すればよいかといった悩みを抱える企業は少なくありません。RPA導入を成功させるには、自社の業務特性を正確に把握し、適切なツールと導入方法を選ぶことが重要です。
『CLOUD BUDDY』では、事務作業のRPA自動化を包括的にサポートしています。まずはお気軽にお問い合わせいただき、自社の事務作業自動化に向けた第一歩を一緒に踏み出していきましょう。
まとめ|事務作業のRPA自動化のために今すべきこと
事務作業のRPA自動化は、人手不足や残業削減、ミスの低減といった複数の課題を同時に解決する有効な手段になります。ただし、闇雲にツールを導入するのではなく、自動化対象業務の棚卸しを行い、適切なツールを選定し、パイロット実証から始めることが重要です。
スモールスタートで試験的に導入し、効果を確認しながら段階的に展開することで、リスクを抑えながら確実な成果を得られるでしょう。事務作業の自動化は、一朝一夕に完成するものではありませんが、今すぐ始めることで、将来的な生産性向上と競争力強化につながります。
自社の状況に合わせて、できるところから一歩ずつ自動化を進めていきましょう。適切なRPA導入が、事務部門の働き方を変える鍵になるはずです。






