月次決算に時間がかかり、結果が出るのが翌月の中旬や下旬になっていませんか。経営判断に必要な財務データが遅れて提供されると、迅速な意思決定ができず、ビジネスチャンスを逃してしまうこともあります。多くの企業では手作業中心の処理や部署間の連携不足により、月次決算に時間がかかっています。しかし、業務フローの見直しとツールの活用により、月次決算のスピードを上げられます。
本記事では、月次決算が遅くなる具体的な原因を明らかにし、スピードアップのための改善策と効果的なツールを紹介します。記事を読むことで、月次決算の遅延要因を把握でき、経営判断に必要な情報を迅速に提供できる体制づくりの方法が理解できるでしょう。
月次決算が遅い原因
月次決算は経営状況を把握するための重要な業務ですが、多くの企業で完了までに時間がかかっています。本来であれば月初から数日以内に完了すべき月次決算が、2週間や3週間かかってしまうケースも珍しくありません。
月次決算が遅れる背景には、業務プロセスや情報共有の仕組みに問題があります。これらの原因を正しく理解することが、改善策を立てる第一歩となります。
手作業中心の処理で集計が遅れる
月次決算では膨大なデータを集計する必要がありますが、手作業中心の処理では時間がかかってしまいます。銀行口座の入出金明細を会計システムに手入力したり、各部門から送られてくるExcelファイルのデータを転記したりする作業は、件数が多いほど時間を要します。特に月末には取引が集中するため、入力すべきデータ量が増加し、経理担当者の負担が大きくなります。
また、手作業による入力はミスが発生しやすく、入力後のチェック作業にも時間がかかります。金額の入力ミスや勘定科目の選択ミスがあると、集計結果に影響するため、慎重な確認が必要です。さらに、手作業では複数の担当者が同時に作業を進めにくく、処理が順番待ちの状態になりやすくなります。
こうした手作業中心の処理は、月次決算のスピードを低下させる大きな要因となっています。自動化できる部分を見つけ出し、システムによる処理に切り替えることで、集計時間を短縮できるでしょう。
他部署との情報共有が滞る
月次決算には経理部門だけでなく、営業部門や購買部門など、複数の部署からの情報が必要です。各部門が保有する売上データや経費データを集約しなければ、正確な決算数値を算出できません。
しかし、部署間の情報共有がスムーズに進まないと、月次決算が遅れてしまいます。例えば、営業部門が売上データをExcelで管理していて、月末にまとめて経理部門に送付する運用では、営業担当者の作業が遅れると経理部門の集計も始められません。また、各部門が異なるフォーマットでデータを提出すると、経理部門がデータを整形する手間が発生します。さらに、情報の提出期限が明確でない場合、各部門の優先順位が低くなり、データの提出が遅れがちです。
他部署とのコミュニケーションがメールや口頭に頼っていると、依頼内容が伝わりにくかったり、進捗状況が把握できなかったりします。こうした情報共有の滞りを解消するには、部署間で共通のシステムを使い、リアルタイムでデータを連携できる仕組みが必要です。
確認・承認プロセスが複雑化している
月次決算では経理担当者が集計した数値を上司や経営層が確認し、承認するプロセスがあります。しかし、このプロセスが複雑化していると、決算完了までに時間がかかります。例えば、複数の階層で確認が必要な場合、各段階で数日ずつ時間がかかり、全体の処理期間が延びてしまいます。
確認者が出張や会議で不在の場合、承認が滞り、次の工程に進めなくなります。また、確認内容が明確でないと、何度も差し戻しが発生し、修正作業に時間を取られます。さらに、紙やPDFで資料を回覧している場合、物理的な移動時間が発生し、プロセス全体が遅くなります。
確認者が資料を受け取っても、すぐに対応できるとは限らず、他の業務を優先してしまうこともあります。こうした確認・承認プロセスの複雑化を解消するには、承認ルートを見直してシンプルにすることや、システム上で承認フローを管理することが有効です。
月次決算のスピードを上げる改善策
月次決算の遅延要因が明確になったら、具体的な改善策に取り組んでいきましょう。業務フローの見直しと自動化、そして情報共有の仕組みづくりが、スピードアップの鍵となります。
これらの改善策を計画的に実施することで、月次決算の処理時間を短縮し、経営判断に必要な情報を迅速に提供できるようになります。
業務フローを見直して標準化する
月次決算のスピードを上げるには、まず現在の業務フローを見直すことから始めましょう。月次決算に関わる全ての作業を洗い出し、どの作業にどれだけ時間がかかっているかを分析します。時間のかかっている作業や重複している工程を見つけ出し、改善の優先順位を決めます。次に、業務の標準化を進めます。
担当者によって処理方法が異なると、引き継ぎに時間がかかったり、ミスが発生したりします。標準的な処理手順を定めてマニュアル化することで、誰が担当しても同じ品質で業務を遂行できるようになります。また、各部署からのデータ提出期限を明確に設定し、期限を守る文化を醸成することも重要です。期限を設定するだけでなく、期限前にリマインドを送る仕組みを作ることで、提出漏れを防げます。
さらに、不要な確認工程を削減し、承認ルートをシンプルにすることで、処理時間を短縮できます。業務フローを見直す際には、関係者全員で現状の課題を共有し、改善案を検討することが大切です。現場の意見を取り入れることで、実効性の高い改善策を立案できるようになるでしょう。
入力・集計を自動化して手作業を減らす
手作業による入力や集計は時間がかかるだけでなく、ミスも発生しやすいため、自動化を進めることが効果的です。まず、銀行口座やクレジットカードのデータを会計システムに自動連携させることで、入出金データの手入力をなくせます。多くのクラウド会計システムは金融機関との連携機能を備えており、取引データを自動的に取り込めます。
また、請求書や領収書をスキャンしてOCR機能で読み取れば、金額や日付などのデータを自動抽出できます。読み取ったデータは会計システムに直接連携されるため、転記作業が不要になります。さらに、AIが過去の仕訳パターンを学習し、適切な勘定科目を自動提案してくれる機能を活用すれば、仕訳入力の時間を短縮できます。
各部門が入力したデータをリアルタイムで会計システムに反映させる仕組みを作れば、月末にまとめてデータを集約する必要がなくなります。こうした自動化により、経理担当者は入力作業から解放され、数値の分析や経営への報告といった、より価値の高い業務に時間を使えるようになるでしょう。
リアルタイムで進捗を共有できる仕組みを導入する
月次決算をスピーディーに進めるには、関係者全員が進捗状況をリアルタイムで把握できる仕組みが必要です。クラウド型のプロジェクト管理ツールやタスク管理ツールを活用すれば、各作業の担当者と期限、完了状況を可視化できます。経理担当者は全体の進捗を一目で確認でき、遅れている作業があれば早めにフォローできます。
また、クラウド会計システムを導入することで、データ入力や仕訳処理の状況がリアルタイムで反映され、複数の担当者が同時に作業を進められます。上司や経営層も必要な時にシステムにアクセスして数値を確認できるため、報告を待つ時間がなくなります。
さらに、チャットツールやコラボレーションツールを活用すれば、部署間のコミュニケーションがスムーズになり、質問や確認事項をすぐに解決できます。メールでのやり取りに比べて返信が早く、情報の行き違いも減ります。こうしたリアルタイムでの情報共有により、月次決算の各工程がスムーズに進み、全体の処理時間が短縮されるでしょう。
月次決算を効率化できるツール例
月次決算のスピードを上げるには、適切なツールの活用が欠かせません。
ここでは、集計や仕訳の自動化、月次処理のスピード化、経費処理の効率化に役立つ代表的なツールを3つ紹介します。これらのツールを導入することで、手作業を減らし、月次決算の処理時間を短縮できます。
マネーフォワード クラウド会計｜クラウド会計で集計・仕訳を自動化する
マネーフォワード クラウド会計は、月次決算の効率化に役立つクラウド型の会計ソフトです。銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど、約2,400以上の金融機関と連携しており、取引データを自動的に取り込めます。取り込まれたデータはAIが自動で仕訳を提案してくれるため、手入力の手間が省けます。過去の仕訳パターンを学習するため、使い続けるほど精度が向上します。
また、請求書や領収書をスマートフォンで撮影するだけで、OCR機能により自動的にデータ化され、仕訳として登録できます。リアルタイムで財務状況を確認できるダッシュボード機能もあり、経営者や管理職が必要な時にすぐ数値をチェックできます。さらに、複数の担当者が同時にアクセスして作業できるため、月次決算の各工程を並行して進められます。税理士ともデータを共有できる機能があり、月次レビューや決算のやり取りがスムーズになります。
出典参照：会計ソフト・労務管理システムならマネーフォワードクラウド｜株式会社マネーフォワード
freee｜freee会計で月次処理をスピード化する
freee会計は、簿記の知識がなくても使いやすいクラウド会計ソフトとして知られています。銀行口座やクレジットカードとの自動連携はもちろん、レシート撮影による自動仕訳機能も充実しています。特徴的なのは、取引の登録方法がシンプルで直感的な点です。仕訳という概念を意識せず、収入や支出の内容を選択するだけで自動的に適切な勘定科目が設定されます。これにより、経理の専門知識がない担当者でもスムーズに入力作業を進められます。
また、月次決算に必要な試算表や損益計算書、貸借対照表などのレポートを自動生成してくれるため、集計作業の時間が短縮されます。リアルタイムで財務状況が更新されるため、月末を待たずに経営数値を把握できます。
さらに、freeeでは経費精算や請求書作成などの機能も統合されており、一つのプラットフォームで経理業務全般を管理できます。モバイルアプリも充実しているため、外出先からでも承認や確認作業が行えます。
楽楽精算｜楽楽精算で経費処理のスピードを上げる
楽楽精算は、経費精算業務を効率化するクラウドサービスです。月次決算では経費データの集計に時間がかかりますが、楽楽精算を導入することで処理スピードが向上します。社員がスマートフォンで領収書を撮影するだけで、OCR機能により自動的にデータ化され、経費申請ができます。
また、交通系ICカードと連携すれば、交通費の入力も自動化されます。申請された経費は設定した承認フローに従って自動的に回付され、承認者にメールやアプリで通知が届きます。承認者は外出先からでもスマートフォンで内容を確認して承認できるため、処理が滞りません。承認が完了した経費データは自動的に会計ソフトに連携されるため、経理担当者が改めて入力する必要がなくなります。
これにより、月末の経費データ集計がリアルタイムで完了し、月次決算の処理時間が短縮されます。さらに、規定違反のチェック機能もあり、申請時点で不備を検出できるため、差し戻しや修正の手間も減ります。
出典参照：楽楽精算 よりよく、寄り添う 経費精算クラウド｜株式会社ラクス
月次決算の効率化は『CLOUD BUDDY』へご相談ください
月次決算のスピードを上げるには、業務フローの見直しからツールの選定・導入まで、多岐にわたる取り組みが必要です。どこから手をつければよいか分からない、ツールを導入しても使いこなせるか不安だという声も多く聞かれます。
『CLOUD BUDDY』では、貴社の月次決算プロセスを分析し、ボトルネックとなっている部分を特定した上で、最適な改善策とツールを提案します。導入後の運用サポートや従業員への教育も提供しているため、安心して効率化を進められます。月次決算を早期化して経営判断をスピードアップしたい方は、ぜひ『CLOUD BUDDY』へご相談ください。
まとめ｜月次決算の遅れを改善してスピーディーな経営判断を実現しよう
月次決算が遅れる原因には、手作業中心の処理による集計の遅れ、他部署との情報共有の滞り、複雑化した確認・承認プロセスがあります。これらの課題を解決するには、業務フローの標準化と自動化、リアルタイムでの進捗共有が有効です。
マネーフォワード クラウド会計やfreee会計、楽楽精算などのツールを活用すれば、入力や集計の自動化が進み、月次決算のスピードが向上するでしょう。早期化した月次決算により、経営者は迅速に経営判断を下せるようになり、ビジネスの成長につながります。今日から改善に取り組み、スピーディーな月次決算を実現しましょう。
