「自社の業務効率が悪い」「コストがかかりすぎている」このような悩みを抱えている企業は少なくないでしょう。
新しい技術の導入や組織の変革が求められる中で、業務改革の重要性が高まっています。
適切な手法で進めることで業務のスピードが向上し、コスト削減や顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
本記事では、業務改革の概要や進め方について解説します。期待できる効果や役立つ方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
業務改革（BPR）とは
業務改革（BPR：ビジネスプロセス・リエンジニアリング）は、単なる業務の効率化ではなく、ビジネスプロセスを抜本的に再設計し新しい価値を生み出すことを目的とした取り組みです。
これまでの手法やフローにとらわれず、企業の目標を達成するために、組織の再編成や業務フローの再構築・情報システムの見直しなどを行います。
業務改革は多くの企業で実施されており、成功すれば生産性向上やコスト削減だけでなく、市場における競争力強化も期待できます。
業務改革と業務改善の違い
業務の効率を上げる方法として、業務改革と業務改善の2つが挙げられます。この2つは一見似ていますが、本質に違いがあります。
| 業務改革 | 目的から逆算して現状の改革を目指す |
| 業務改善 | 現状の課題を解決し結果につなげる |
業務改革は、既存のプロセスを抜本から再構築し、より良い仕組みへと作り変えるものです。
一方の業務改善は現状のプロセスを維持しつつ、無駄を省いたり手順を見直したりすることで、効率を高める取り組みです。
業務改革の進め方【5ステップ】
業務改革を成功させるためには、計画的なアプローチが欠かせません。以下の5つのステップで進めることで、スムーズな改革が目指せます。
- 目的・目標の明確化
- 業務フローを分析
- 業務プロセスの再設計
- 新プロセスを実施
- 効果測定・継続的な改善
それぞれのステップについて詳しく解説します。
ステップ1.目的・目標の明確化
最初に行うべきことは、目的と目標の明確化です。明確にすることで、適切な施策を打ち出せ効果的な改革を促進できます。
例えば、コスト削減を目的とする場合、具体的にどのコストを削減するのかを定める必要があります。
人件費・設備投資・システム費用など、目的によってアプローチ方法が異なります。明確な目標があれば、関係者全員が共通の認識を持ち、スムーズに業務改革を進められるでしょう。
ステップ2.業務フローを分析
次に現状の業務フローを分析し、リスクや課題を洗い出します。各プロセスの流れを整理し、どこに課題があるのかを明確にすることで、改善すべきポイントが見えてくるでしょう。
例えば、書類の承認プロセスが複雑で時間がかかるケースでは、どこにボトルネックがあるのかを分析します。
無駄な手続きや重複作業が見つかれば、それらを削減でき効率化が図れるでしょう。
ステップ3.業務プロセスの再設計
課題が明確になったら、新しい業務プロセスの設計を行います。
例えば、手作業で行っていたデータ入力を自動化する、異なるシステムを統合して情報共有をスムーズにするなどの手法が考えられます。これにより作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減が期待できるでしょう。
重要なのは、「既存のやり方にとらわれないこと」です。ただし、すべてを変えるのではなく、良い部分は残しつつ、社員の負担や設備投資の費用対効果を考慮しながら総合的に判断してください。
ステップ4.新プロセスを実施
新しい業務プロセスが決まったら、新プロセスを実施します。ただし、いきなり全面的に変更すると混乱が生じるため、段階的に進めるのがポイントです。
例えば、一部の部署で試験運用を行い、問題点の改善を行ってから全体で実施する方法が有効です。現場の声を反映しながら調整すれば、スムーズな移行が可能になるでしょう。
ステップ5.効果測定・継続的な改善
業務改革は、一度実施して終わりではありません。実施後の効果を測定し、さらに改善を重ねることで、より満足度の高い業務改革が実現できるでしょう。
例えば、業務時間の短縮がどの程度実現できたか、どの程度コスト削減の効果があったかなどを定期的に評価しましょう。
また、社員にアンケートを実施し実際に感じたメリットやデメリットを評価するのも有効です。
これらの結果をもとに新たな課題を洗い出し、さらなる改善を継続していくことが大切です。
業務改革によって期待できる5つの効果
業務改革を進めることで、さまざまなメリットが得られます。特に、以下の5つの効果が期待できるでしょう。
- 業務効率化と生産性向上
- 業務の属人化防止
- 社員のモチベーション向上
- 顧客満足度の向上
- DXの推進
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.業務効率化と生産性向上
業務改革に取り組むことで、社員一人ひとりの業務効率や生産性の向上が期待できます。
日々の業務の中には、時間がかかるわりに成果が見えにくい業務が存在します。
例えば、紙ベースで情報を管理している場合、必要なデータを探すだけで多くの時間を費やしてしまうでしょう。デジタル化すれば、必要な情報に素早くアクセスできるようになり、業務のスピードが大幅に向上します。
適切なツールの活用やワークフローの見直すことで、業務の負担を減らしながら高い成果を目指せるでしょう。
2.業務の属人化防止
特定の社員にしかできない業務が多いと、組織全体のリスクが高まります。例えば、長年勤める社員が独自の方法で業務を進めていると、新入社員が同じように業務を進めるのは難しくなるでしょう。
この問題を解決するためには、業務手順を明確にし、誰でも同じ手順で業務を遂行できる環境を整えることが重要です。業務マニュアルの整備やノウハウの共有などの対策が有効です。
3.社員のモチベーション向上
働きやすい環境が整えば、社員の意欲も高まります。
例えば「報告書の作成に時間がかかる」「情報共有がスムーズにできない」といった課題があると、業務に対するストレスが増えてしまうでしょう。
これらの課題を解決すれば、社員は意欲的に働けるようになります。
また、モチベーションの高い職場では、社員同士の連携もスムーズになり、チームワークが強化されます。その結果、組織全体の成長スピードも加速するでしょう。
4.顧客満足度の向上
業務改革を進めることで、顧客満足度の向上が期待できます。例えば、問い合わせ対応に時間がかかる企業では、顧客が不満を感じやすくなります。
しかし、情報管理を最適化し、スムーズに対応できる環境が整えば、顧客は安心してサービスを利用できるでしょう。
顧客に寄り添った対応ができる企業は、競争力も強くなります。
業務改革によってサービス品質を向上させることで、長期的な信頼関係を築き、安定した売上につなげられるでしょう。
5.DXの推進
業務改革の一環としてDX（デジタルトランスフォーメーション）を取り入れれば、よりスムーズな業務プロセスを実現できるでしょう。
DXとは「デジタル技術を活用し、企業や組織の変革を通じて成長を目指す取り組み」です。
例えば、紙の書類管理をデジタル化すれば、検索や共有が簡単になり、業務のスピードが向上します。
クラウドツールを活用すれば、インターネット環境さえあればどこからでも業務を進められるため、柔軟な働き方が可能になるでしょう。
業務改革を進めるうえでのポイント
業務改革を進めるうえでのポイントは、次の5つです。
- 目的を見失わないように注意する
- 現場の意見を取り入れる
- 業務マニュアルを作成する
- PDCAを継続的に回していく
- セキュリティ対策を徹底する
これらのポイントを意識することで、スムーズに業務改革を進められるでしょう。それぞれ具体的に解説します。
目的を見失わないように注意する
業務改革を成功させるためには、最初に明確な目的の設定が欠かせません。例えば「コスト削減を目指すのか」「生産性向上を図るのか」によって、実施すべき施策は大きく変わります。
目的が曖昧なまま進めると、方向性がぶれてしまい十分な成果を得られない可能性があります。
明確なゴールを設定すれば、どの業務を見直し、どの部分に重点を置くべきかが明らかになり改革の効果を最大化できるでしょう。
現場の意見を取り入れる
業務改革は、実際に業務を担当する社員の意見を取り入れることが重要です。現場の意見を無視すると、実情に合わない施策が採用され、改革がスムーズに進まない可能性があります。
経営層だけで決めるのではなく社員とともに業務改善を進めることで、納得感のある改革となり、組織全体の協力も得やすくなるでしょう。
業務マニュアルを作成する
業務改革を進める際は、業務マニュアルを整備することも大切です。統一された手順がないと業務が属人化し、効率的な遂行が難しくなります。
業務マニュアルは、一度作成すれば終わりではありません。定期的に見直し、最新の業務フローに合わせて追加・修正してください。
業務マニュアルがあれば、担当者が変わっても業務品質を維持しやすくなるでしょう。
PDCAを継続的に回していく
PDCAサイクルは、業務改革の効果を高めるために欠かせないフレームワークです。以下の4つのステップを繰り返し、改善を重ねていきます。
- 計画（Plan）
- 実行（Do）
- 評価（Check）
- 改善（Act）
一度決めた施策に固執せずに、状況に応じて柔軟に改善を加えていくことが業務改革を成功させるポイントです。
セキュリティ対策を徹底する
クラウド化やシステム導入が進む現代では、情報漏えいのリスクが高まっています。そのため、セキュリティ対策の徹底が必要です。
例えば、強固なパスワードの設定、アクセス権限の適切な管理、定期的なセキュリティ教育の実施などが有効です。
これらを徹底することで、リスクを最小限に抑えられるでしょう。
業務改革を進める際に役立つ2つの方法
自社だけで業務改革を進めるのは難しい場合があります。その際は、外部サービスを活用するのも一つの手段です。
ここでは、業務改革に役立つ2つのサービスを紹介します。
①BPO
BPO（ビジネス・プロセス・アウトソーシング）とは、業務プロセスの一部を、企画・設計・実施まで一括して専門業者に委託することです。
例えば、経理やカスタマーサポートなどの業務を委託することで、空いた時間をコア業務に集中できます。また、専門知識を持った人材に業務を任せれば、業務の質の向上も可能です。
BPOは、業務効率化やコスト削減を目指す企業にとって有効な手段の一つでしょう。
②ERP
ERP（エンタープライズ・リソース・プランニング）は、企業全体の業務を統合的に管理できるシステムです。情報を一元管理できるため、業務の効率化やデータの正確性向上につながります。
例えば、複数の部署で管理していた在庫データをERPで統合すれば、リアルタイムで正確な在庫状況を把握できます。無駄な発注を防ぎ、コスト削減にも貢献できるでしょう。
ERPを導入することで業務プロセスの標準化が進み、組織全体の生産性向上が期待できます。
業務改革を目指したBPOの相談は『CLOUD BUDDY』へ
『CLOUD BUDDY』では、企業ごとのニーズに合わせたBPO（ビジネス・プロセス・アウトソーシング）を提供しています。
日々の雑務や単純作業に時間が取られ、本来やるべき業務に集中できないなどの課題がある企業は、ぜひご相談ください。
また、業務フローの整備、手順書やマニュアル作成など、業務改革に向けたサポートも可能です。
自社だけで解決しようとせず、専門家の知見を活用することが大切です。まずは『CLOUD BUDDY』にお気軽にお問い合わせください。
まとめ｜目的を明確にして効果的な業務改革を目指そう
業務改革を進めることで、企業全体の生産性が向上し、働きやすい環境が整います。
「目的を明確にする」「適切な手法を選ぶ」「経営層と現場が連携する」などのポイントを押さえつつ適切な手順を踏めば、無理なく効率的な変革が進められるでしょう。
また、BPOの『CLOUD BUDDY』やERPを活用し、継続的な改善を意識しながら取り組むことも大切です。柔軟に対応しながら最適な方法を取り入れることで、企業の成長につながります。
本記事を参考に自社に合った手段を見極め、効果的に業務改革を進めましょう。
