採用にかかるコストは削減できる?具体的な施策や戦略を詳しく解説

採用コストの削減は、単なる節約ではなく、採用活動全体の効率化です。外部コスト・内部コストの種類と内訳から、すぐにできる具体的な施策、中長期的な戦略までを解説。効果測定と改善のステップも紹介しているので、採用活動の見直しにつなげましょう。

企業が事業を進めていくうえでは、従業員の採用が欠かせません。従業員の採用にあたっては、求人広告費、人材紹介手数料、イベント参加費など、多岐にわたる費用が発生し、企業経営にとって負担になりかねません。しかし、単にコストを削減するだけでは、必要な人材を確保できなくなるリスクも伴います。重要なのは、無駄なコストを徹底的に見直し、採用活動全体の効率と質を高めることです。

この記事では、採用コストを効果的に削減するための具体的な手法について、短期的な視点から長期的な視点まで幅広く解説します。

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採用コストの種類と内訳

株式会社リクルートが発表した『就職白書2020』によると、2019年度の採用単価は新卒採用が93,6万円、中途採用は103,3万円でした。これだけのコストは企業の負担になってしまうでしょう。

採用コストは、大きく分けて外部コストと内部コストの2つに分類できます。これらを正確に把握することが、効率的なコスト削減の第一歩です。外部に支払う費用だけでなく、社内で発生する見えにくいコストも考慮に入れる必要があります。

出典:就職白書2020|株式会社リクルート

外部コスト

外部コストとは、採用活動を外部のサービスや業者に依頼する際に発生する費用です。主なものとしては、求人広告掲載費、人材紹介エージェントへの成功報酬、採用イベントの出展費用などが挙げられます。これらの費用は、一般的に高額になりがちです。

また、採用管理システム(ATS)の利用料や、外部の採用コンサルタントに支払う費用もここに含めることができます。これらのコストは、採用活動の規模や手法によって大きく変動するため、自社の状況に合わせて適切なサービスを選択することが求められます。

内部コスト

内部コストとは、採用活動を社内で行う際に発生する見えにくい費用です。最も代表的なものは、採用担当者の人件費です。求人票の作成、応募者のスクリーニング、面接日程の調整、内定者への連絡など、採用担当者は多岐にわたる業務をこなします。これらの作業にかかる時間もコストとして換算する必要があるでしょう。

さらに、面接官を務める現場社員や役員の時間コストも重要です。彼らの本業を一時的に中断して面接を行うため、その時間もコストとして考慮すべきです。

効果的な採用コスト削減の具体的な施策

採用コストを削減するためには、外部と内部の両方のコストに焦点を当てた具体的な施策を講じましょう。特に、外部に依存しがちな広告費や手数料を抑えるための工夫が不可欠となります。

また、社内のリソースを有効活用することで、コストを削減しつつ、採用活動の質を向上させることが可能になります。ここでは、すぐに取り組むことができる効果的な施策について、詳しく見ていきましょう。

掲載媒体の見直しと最適化などで広告費を抑える

求人広告費は、採用コストの中でも大きな割合を占めることが多いです。そのため、掲載媒体を適切に見直すことで、費用を削減できる可能性があります。まずは、自社がこれまで利用してきた媒体の費用対効果を分析しましょう。応募数、採用人数、そして採用単価を媒体ごとに算出することで、どの媒体が最も効率的であるかが明らかになります。

効果の低い媒体の掲載をやめる、あるいは掲載プランをより安価なものにダウンサイジングすることも有効な手段です。また、専門職に特化した媒体や、地域密着型の媒体など、自社の求める人材にピンポイントでアプローチできる媒体に切り替えることも検討してみてください。

採用チャネルの多角化と内製化

広告媒体への依存度を下げ、自社で採用活動を内製化することは、中長期的なコスト削減に繋がります。その代表的な方法が、リファラル採用とオウンドメディアリクルーティングです。リファラル採用とは、社員の紹介によって人材を獲得する手法で、成功報酬型の紹介手数料が不要になるため、コスト削減が期待できます。社員は自社のことをよく理解しているため、ミスマッチも起こりにくいでしょう。

一方、オウンドメディアリクルーティングでは、自社のウェブサイトやブログ、SNSなどを活用して、企業の魅力や社員の働きがいを発信します。

採用管理システムの導入による業務効率化

採用管理システム(ATS)を導入することは、内部コストの削減に大きく貢献します。ATSは、応募者の情報管理、面接日程の調整、合否連絡などを一元的に管理し、自動化する機能を持っています。これにより、採用担当者が手作業で行っていた業務を大幅に効率化することができ、時間コストを削減できます。

また、応募者とのコミュニケーションもスムーズになり、選考辞退を防ぐ効果も期待できるでしょう。多くのATSは、応募経路ごとの効果測定機能も備えており、どの媒体やチャネルからの応募が多いか、採用につながったかを可視化できます。これにより、よりデータに基づいた採用戦略を立てることが可能です。

中長期的な視点での採用コスト削減戦略

短期的な施策でコストを削減することも重要ですが、継続的な採用コストの低減を目指すなら、中長期的な戦略を立てることが不可欠です。

企業のブランド力向上、採用プロセスの改善、そして既存社員のエンゲージメント向上は、将来的な採用コストを劇的に下げる鍵となります。これらの取り組みは、コスト削減だけでなく、企業の成長そのものにも深く関わってきます。

採用ブランディングの強化

採用ブランディングとは、企業が「求職者にとって魅力的で、働きたいと思える会社」であるというイメージを構築する活動です。企業のパーパスやビジョンを明確に伝え、社員一人ひとりの働きがいや成長ストーリーを発信することで、求職者はその企業で働くことの価値をより深く理解できます。これにより、企業のファンが増え、求人広告に頼らずとも質の高い応募者からの募集が期待できるでしょう。

結果として、応募者数の増加、採用単価の低下、そして内定辞退率の改善につながります。採用ブランディングは一朝一夕で完成するものではありませんが、一度確立すれば、採用活動全体の効率を飛躍的に高めることができます。

採用プロセスの見直しと改善

採用プロセス全体を定期的に見直し、改善を続けることもコスト削減に繋がります。特に重要なのは、各選考プロセスの歩留まり率を分析することです。書類選考、一次面接、最終面接など、各ステップでどのくらいの候補者が辞退しているのかを把握することで、ボトルネックとなっている部分を特定できます。

例えば、一次面接の通過率が極端に低い場合、面接官のスキルや評価基準に問題があるかもしれません。また、応募者への連絡を迅速に行うことや、面接での質問内容を見直すことで、候補者のエンゲージメントを高め、選考途中の辞退を防ぐことができます。

既存社員のエンゲージメント向上

既存社員のエンゲージメントを高めることは、採用コストを削減する上で非常に重要な要素です。社員のエンゲージメントが高まると、離職率の低下に繋がります。離職者が減れば、その分の採用活動が不要になるため、結果として採用コストは大幅に削減できます。また、エンゲージメントの高い社員は、自社を友人や知人に自信を持って紹介してくれるため、リファラル採用の促進にもつながるでしょう。

社員の働きがいを向上させるためには、適正な評価制度の導入や、社員同士のコミュニケーションを活発化させるための取り組みが効果的です。

コスト削減を成功させるための具体的なステップ

採用コスト削減を成功させるためには、計画的かつ継続的な取り組みが不可欠です。やみくもに費用を削るのではなく、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回しながら進めていくことが重要となります。以下に、具体的なステップを紹介します。

現状分析

まず、自社の採用活動にかかっているコストを徹底的に洗い出しましょう。外部コストと内部コストに分け、求人広告媒体ごとの費用、人材紹介会社への成功報酬、採用担当者の人件費などを詳細にリストアップします。

そして、採用単価や応募経路ごとの採用率など、具体的な数値を算出しましょう。この現状分析を行うことで、どの部分に無駄なコストが生じているのかが明確になり、次のステップである目標設定の基盤となります。

目標設定

現状分析で得られたデータをもとに、具体的な削減目標を立てます。「いつまでに、採用コストを〇〇%削減する」といった形で、数値で目標を定めることがポイントです。また、目標は短期的なものと中長期的なものに分けて設定することで、段階的に取り組みを進めることができます。

例えば、短期目標として「効果の低い求人媒体の掲載を停止する」、中期目標として「リファラル採用を〇〇人達成する」、長期目標として「採用単価を〇〇円に下げる」といった形で設定すると良いでしょう。

施策立案と実行

設定した目標を達成するための具体的な施策を立案し、実行に移します。この際、複数の施策を組み合わせることが効果的です。例えば、短期的な施策として「求人広告プランの見直し」を行いながら、中長期的な施策として「採用ブログの立ち上げ」を並行して進めるなどです。

各施策には、担当者と期限を明確に定め、責任の所在をはっきりさせておくことが大切です。また、施策の実行にあたっては、関係部署や社員の協力を仰ぎ、組織全体で取り組む体制を構築することも重要となります。

効果測定と改善

施策を実行したら、必ずその効果を測定しましょう。目標設定時に定めた指標(採用単価、応募数、歩留まり率など)を用いて、施策の効果を客観的に評価します。もし目標を達成できていない場合は、何が原因だったのかを分析し、改善策を検討します。

例えば、ブログの更新頻度が少なかったのか、記事の内容が求職者の興味を引かなかったのかなど、具体的な課題を洗い出します。そして、その改善策を次のサイクルに活かしていくことで、採用コスト削減の取り組みはより洗練されていくでしょう。

採用コストを削減させるなら『CLOUD BUDDY』へご相談ください

採用コストの削減を検討している方は『CLOUD BUDDY』へご相談ください。『CLOUD BUDDY』は定型業務だけでなく、専門的な非定型業務のアウトソーシングに対応しています。月々の稼働時間に応じて費用が決まるので、業務量の多い月、少ない月でコストを調整可能です。

マネジメントも対応するため、企業の負担を軽減できます。採用に関わるコストを削減したい場合、ぜひ『CLOUD BUDDY』へご連絡ください。

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まとめ|採用方法を見直してコスト削減につなげよう

企業が従業員を採用する際に発生するコストは、採用活動を外部のサービスや業者に依頼する外部コストや採用活動を社内で行う際に発生する内部コストに分けられます。

採用にかかるコストを削減するのであれば、掲載媒体の見直しや採用チャネルの多角化と内製化などを検討しましょう。

採用コスト削減は、単なる費用の切り詰めではありません。採用活動全体の効率と質を高め、企業の成長を加速させるための戦略的な取り組みです。中長期的な視点を持ちつつ採用コスト削減に取り組んでいきましょう。

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