「業務の効率化を図りたいけれど、何から始めればいいのかわからない」
「社員の残業を減らしたいが、根本的な解決策が見つからない」
このようなお悩みを抱える企業担当者は多くいます。人手不足や業務の属人化が進む現代において業務量を削減しつつ成果を維持するためには、従来のやり方を見直す必要があります。
そこで注目されているのが、DX（デジタルトランスフォーメーション）です。DXを推進することで業務そのものの在り方を根本から見直し、ムダを省き、働き方そのものを変えられます。
本記事では、DXがなぜ業務量の削減につながるのか、その具体的な理由を5つに分けて解説します。記事を読むことで、自社の業務をどのように改善できるのか、どのようなツールや考え方が必要なのかを理解し、明日からの業務改善に活かせるヒントを得られるでしょう。
DX推進で業務量削減が可能な理由
DX推進が業務量削減につながるのは、単なるデジタル化ではなく、「業務の質と流れを変革する力」があるからです。ここでは、その具体的なメカニズムを見ていきましょう。
①業務の自動化によって業務量が削減できるから
業務の自動化は、DXの代表的な効果の1つです。RPA（Robotic Process Automation）やAIツールを活用すると、これまで人手で行っていた定型作業を自動で処理できるようになるでしょう。
例えば、請求書の発行や勤怠管理、データ入力などはミスが起きやすく人件費もかさむ業務ですが、自動化によって正確かつ迅速に処理できます。これにより担当者は単純作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。
結果として作業時間の短縮と人件費の削減が実現できるため、業務量全体の負担が大きく軽減されるのです。
②デジタルツール活用で効率的な情報共有ができるから
社内外の情報共有に時間がかかる場合、業務が停滞しやすくなります。しかし、クラウドツールやグループウェアなどのデジタルツールを導入すると、リアルタイムかつスムーズな情報共有が可能になるでしょう。
例えば、チャットツールやオンラインストレージを活用すれば過去のメールを探し回る手間がなくなり、必要な情報に即座にアクセスできます。資料の最新版を常に共有できると、作業のやり直しや二重確認の手間も削減されるのです。
これによりチーム全体の作業効率が高まり、業務全体のスピードも向上します。
③重複作業を排除するから無駄な業務量を減らせるから
DX推進の過程では業務フローの可視化と最適化が行われるため、組織内の「無意識の重複作業」が明らかになります。重複したデータ入力、二重の承認手続き、同じ作業を複数部署で繰り返すなどのムダはDXの推進で排除できます。
例えば営業と経理がそれぞれ顧客情報を別々に管理していた場合、一元管理システムを導入することで二度手間を防ぎ、情報の整合性も保てるようになるでしょう。
こうした重複作業の削減は業務全体の負担を減らし、生産性の向上につながります。
④業務プロセスの見直しにより無駄を削減できるから
DXを推進する際は、既存の業務プロセスをゼロベースで見直す機会になります。このプロセスで、「なぜその作業が必要なのか」「本当にこの順番で良いのか」といった根本的な問いを立て直すことが可能です。
例えば、紙ベースで行っていた申請手続きをオンライン化すると承認スピードが上がり、申請内容が記録されると監査や分析にも活用できるようになります。
このように業務プロセスの刷新は、単に作業を減らすだけでなく、業務の質を高める結果にもつながります。
⑤データ活用により迅速かつ正確な意思決定ができるから
DXでは、社内外に蓄積されたデータを活用することで意思決定のスピードと精度が向上します。BI（ビジネスインテリジェンス）ツールやダッシュボードを導入すると、リアルタイムのデータに基づいた判断が可能になるのです。
例えば、売上データや顧客動向を瞬時に可視化できれば現場での対応も迅速に行えますし、戦略的な判断も的確になります。直感や過去の経験だけに頼らずデータに裏付けされた意思決定ができるようになるため、手戻りや方針転換のリスクも減少するでしょう。
その結果、無駄な会議や報告書作成に割く時間も削減され、全体的な業務量の軽減につながります。
DXの推進で業務量削減を成功させた企業例
業務量削減を目指す上で、他社がどのようにDX（デジタルトランスフォーメーション）を導入し、具体的な成果を挙げているかを知ることは、自社にとってのヒントになります。ここでは、実際に業務量の削減を実現した国内企業の成功事例を紹介します。
事例①トヨタ自動車株式会社｜生産ラインの自動化による組立業務の削減
トヨタは、生産現場における業務効率の改善に長年取り組んできた企業の代表格です。中でも、生産ラインの自動化は業務量削減に直結する大きな改革でした。
トヨタは「トヨタ生産方式（TPS）」の進化形として、IoT（モノのインターネット）やAIを活用したスマートファクトリーを展開しています。具体的には、車体の組立作業においてロボットを導入し、人手を必要とした単純作業を自動化しました。その結果、熟練工でなければ行えなかった工程も均質かつ高速にこなせるようになり、作業時間と工数の削減を実現しました。
参考：トヨタ自動車株式会社
事例②日立製作所株式会社｜社内書類のデジタル化による事務作業の削減
製造業でありながらITソリューションにも強みを持つ日立製作所は、社内業務のデジタル化により煩雑な事務作業の削減に成功しました。
同社では、社内の稟議書や報告書、請求書などの書類を電子化し、ワークフローシステムを通じて処理を自動化しました。紙媒体でのやりとりを廃止したことで、印刷、押印、ファイリング、郵送といった一連の作業が不要になり、業務プロセス全体が簡素化されたのです。
参考：日立製作所株式会社
事例③日本郵便株式会社｜郵便物の仕分け自動化による仕分け作業の削減
物流業務を担う日本郵便では全国規模で大量の郵便物を扱っており、仕分け作業の効率化は業務改革の中核でした。そのカギを握ったのが、AIと画像認識技術を活用した自動仕分けシステムです。
従来、住所や郵便番号を読み取って手作業で分類していた作業を、OCR（光学文字認識）を用いた機械が代替することで処理スピードが向上しました。加えて、ミスの少ない正確な仕分けが実現したため、再作業の負担も減少しました。
参考：日本郵便株式会社
事例④三菱UFJフィナンシャル・グループ｜AIチャットボット導入による顧客対応業務の削減
金融業界においてもDXは進んでおり、特に顧客対応業務の自動化が進展しています。三菱UFJフィナンシャル・グループ（MUFG）では、AIチャットボットを導入することで問い合わせ対応の効率化に成功しました。
これまで店舗やコールセンターに寄せられる問い合わせはすべて有人対応でしたが、チャットボットの導入により、よくある質問や手続きの案内を自動で処理できるようになりました。今や口座の残高照会や利用明細の確認などは、ユーザーがスマートフォンからすぐに確認できるようになっています。
事例⑤楽天グループ株式会社｜物流システムの自動化による配送業務の削減
EC業界大手の楽天グループでは、急増する注文への対応と人手不足の課題を解決するため物流拠点の自動化を進めています。特に注目されるのが、倉庫内での商品のピッキングや仕分け、梱包といった作業を自動ロボットに任せた点です。
AIとロボティクスを活用したシステムにより、作業の高速化と正確性が大幅に向上しました。人が行っていた作業の多くがロボットに置き換わったことで業務の属人化が解消され、24時間稼働可能な体制が整いました。
参考：楽天グループ株式会社
業務量削減に向けたDX推進の5ステップ
DX（デジタルトランスフォーメーション）を成功させるためには、場当たり的な施策ではなく、段階的かつ戦略的なアプローチが欠かせません。ここでは、業務量削減を実現するための具体的な5つのステップを紹介します。
ステップ1：現状業務の課題を洗い出す
業務量削減を図る第一歩は、今抱えている課題を正確に把握することです。
例えば、社員の作業時間が長くなっている原因を「業務フローが煩雑で手作業が多い」や「属人化により業務の効率化が進まない」など、具体的に掘り下げる必要があります。この工程を丁寧に行うと、DXの方向性が明確になるのです。
現場の声や実際の業務データを収集し、業務別にボトルネックを特定しましょう。可視化ツールや業務日報を活用することで、客観的な課題分析が可能になります。
ステップ2：改善目標を設定して優先順位を決める
次に、明確な改善目標を設定し、それぞれの施策に優先順位をつけましょう。
例えば、「年間残業時間を20%削減する」や「データ入力作業の工数を半分にする」といった定量的な目標を掲げると、これがプロジェクト全体の指針となります。これにより、関係者全体が共通の認識を持ってDXに取り組めるのです。
加えて、すべての業務を一度に改善するのではなく効果が高く実行しやすい業務から着手することで、初期の成功体験を積み重ねられるでしょう。
ステップ3：自動化できる業務を選定する
課題と目標が明確になった段階で、自動化の対象となる業務を選定します。
例えば「定型的なメール返信」「データの転記」「帳票の作成」など、反復性が高くルールベースで処理できる業務は自動化の効果が大きい領域です。業務プロセスのなかで、付加価値が低く人的ミスが起きやすい部分を優先的に抽出しましょう。
RPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）やOCR（光学式文字認識）などのテクノロジーを活用することで、従来の人手による作業を効率化できる可能性があります。
ステップ4：適切なデジタルツールを導入する
自動化対象が明確になったら、それを実現するためのデジタルツールを導入します。
例えば、営業支援にはSFA（Sales Force Automation）、顧客対応にはチャットボット、バックオフィスにはERP（統合業務システム）など用途に応じたツールを選ぶことが重要です。ただし、導入すること自体が目的とならないように注意しましょう。
現場での使いやすさや運用コスト、セキュリティ要件なども考慮し、自社に最適なソリューションを選定します。導入後の定着を見据えて、教育やサポート体制も整備しておきましょう。
ステップ5：継続的に効果を検証し改善する
DX推進は、一度始めて終わりではなく、継続的な改善が求められます。
例えば、新しいツールを導入した後は、「業務時間が実際に削減できたか」「作業の精度が向上したか」といった効果検証を行い、データに基づいて次のアクションを考えることが大切です。
ユーザーのフィードバックを反映しながら、運用ルールの見直しや追加機能の導入を検討していきましょう。このようにPDCAサイクルを回すことで、業務改善の精度と持続性を高められます。
業務量削減に向けたDX推進は『CLOUD BUDDY』へご相談ください
「DXを推進して業務量を削減したい」と考えていても、どこから着手すべきか分からないという声は多く聞かれます。『CLOUD BUDDY』では、企業規模や業種に応じた最適なDX導入のプランニングから、実装・運用サポートまでを一貫して提供しています。
例えば、製造業に特化した工程管理のデジタル化、サービス業向けの予約管理システム導入、物流業界のルート最適化など業界別の課題に寄り添ったソリューションをご提案可能です。
実績豊富なコンサルタントがヒアリングを通じて課題を明確にし、最適な改善策を提案いたします。ぜひ一度、『CLOUD BUDDY』へお気軽にご相談ください。
まとめ｜DXの推進で無駄な業務を削減しよう
DXを通じた業務量の削減は、ただの業務効率化にとどまらず、企業全体の競争力向上にもつながります。現状の課題を正しく把握し、段階的に施策を講じることで、確実に改善の成果を得られるでしょう。
また、自動化やツール導入は目的ではなく手段であり、その後の継続的な改善こそが真の成功を左右します。現場の声に耳を傾けながら、実効性のある施策を継続していきましょう。
もしもDXの進め方に迷ったときは、『CLOUD BUDDY』がサポートいたします。貴社の課題を共に見つめ、最適な業務改善を実現するためのパートナーとしてお役立てください。
