業務棚卸の正しいやり方を解説!ムダをなくす可視化と改善の手順

業務棚卸の正しいやり方を詳しく解説します。業務の可視化から改善対象の優先順位付けまで、具体的な手順を紹介し、ムダや重複を発見してコスト削減につなげる方法をまとめました。kintoneやNotionなど、業務棚卸を効率化できるツールの活用法も紹介していますので、業務改善に取り組みたい方はぜひ参考にしてください。生産性向上を実現する業務棚卸の進め方が分かります。

日々の業務に追われるなかで、本当に必要な作業なのか疑問に感じたり、同じような作業を複数の人が重複して行っていたりする状況に直面していませんか。業務の全体像が見えていない状態では、ムダな作業や非効率なプロセスが放置され、チーム全体の生産性が低下してしまいます。しかし、業務棚卸を正しく実施すれば、業務の可視化から改善までを体系的に進められ、コスト削減や生産性向上につなげられます。

本記事では、業務棚卸を行う目的や重要性を明らかにしたうえで、具体的な実施手順や効率化に役立つツールまで詳しく解説していきますので、業務改善に取り組みたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

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業務棚卸を行う目的と重要性

業務棚卸とは、組織やチームが行っている業務を洗い出し、整理・分析する取り組みです。日常業務に埋もれてしまいがちな課題を明確にし、改善の糸口を見つけるために欠かせないプロセスといえます。

ここでは、なぜ業務棚卸が重要なのか、どのような効果が期待できるのかを3つの視点から見ていきましょう。これらの目的を理解しておけば、業務棚卸に取り組む意義が明確になり、実施へのモチベーションも高まります。

業務全体を見える化して改善点を明確にする

業務棚卸の最も重要な目的は、組織やチームが行っている業務の全体像を可視化することです。日々の業務に追われていると、自分が何にどれだけの時間を使っているのか、チーム全体でどのような業務が行われているのかを把握できていないケースが多く見られます。業務を可視化することで、どこにボトルネックがあるのか、どの業務に時間がかかりすぎているのかが一目で分かるようになるでしょう。

また、業務フローを整理する過程で、複雑化したプロセスや不明瞭な責任範囲などの問題も浮き彫りになります。可視化された情報をもとに、改善すべき優先順位を判断できるため、効果的な業務改善計画を立てられるようになります。業務の見える化は、改善活動の第一歩であり、組織全体で課題を共有するための土台となります。

無駄や重複を発見してコストを削減する

業務棚卸を実施すると、実は必要のない作業や、複数の部署で重複している業務が見つかることがよくあります。例えば、過去に必要だったものの現在は意味をなしていない報告書を作り続けていたり、同じデータを別々の担当者が異なる方法で集計していたりするケースです。

こうしたムダな業務は、気づかないうちに人的コストや時間を浪費し、本来注力すべき業務に割くリソースを奪ってしまいます。業務棚卸によってこれらの問題を発見し、不要な業務を廃止したり、重複している作業を統合したりすることで、コスト削減につながるでしょう。

また、業務の目的を再確認する過程で、本来の目標達成に寄与していない作業を見直す機会にもなります。無駄や重複をなくすことは、限られたリソースを効果的に活用し、組織の競争力を高めるために不可欠な取り組みといえます。

属人化を防ぎチーム全体の生産性を高める

特定の担当者しか対応できない業務が多い状態では、その担当者が不在になった際に業務が滞ってしまうリスクがあります。業務棚卸を行うことで、誰がどのような業務を担当しているのかが明確になり、属人化している業務を発見できます。

属人化した業務は、担当者の経験や勘に依存しているケースが多く、標準化やマニュアル化が進んでいないことが原因です。業務内容や手順を可視化し、マニュアルを整備することで、他のメンバーでも対応できる体制を構築できるでしょう。

また、業務の分担状況を見直すことで、特定の人に負荷が集中している状況を改善し、チーム全体で業務を分散させることも可能になります。属人化を解消すれば、チームの柔軟性が高まり、急な欠員や業務量の増加にも対応しやすくなるため、組織全体の生産性向上につながるでしょう。

業務棚卸の正しいやり方

業務棚卸の目的と重要性を理解したところで、次は具体的な実施手順を見ていきましょう。業務棚卸は、ただ業務を列挙するだけでなく、体系的に整理し、分析し、改善につなげるプロセスが重要です。

ここでは、業務棚卸を効果的に進めるための3つのステップを紹介しますので、自社の状況に合わせて実践してみてください。これらの手順を丁寧に実施することで、実効性の高い業務改善につながります。

現行業務を洗い出しフローを整理する

業務棚卸の最初のステップは、現在行われているすべての業務を漏れなく洗い出すことです。各メンバーに、日常的に行っている業務をリストアップしてもらい、どのような作業があるのかを可視化しましょう。

このとき、大きな業務だけでなく、細かい作業や定期的でないタスクも含めて記録することが重要です。業務のリストができたら、それぞれの業務がどのような流れで行われているのか、業務フローを整理していきます。フローチャートや業務プロセス図を作成すると、業務の流れが視覚的に分かりやすくなり、関係者間での認識のズレも防げるでしょう。

また、業務の開始から完了までに関わる部署や担当者、使用するツールやシステムなども併せて記録しておくと、後の分析に役立ちます。現行業務の洗い出しは時間がかかる作業ですが、正確な情報を集めることが改善の質を左右するため、丁寧に取り組むことが求められます。

業務ごとの目的・担当・頻度を明確にする

洗い出した業務について、それぞれの目的、担当者、実施頻度を明確にしていきましょう。業務の目的を確認することで、その業務が本当に必要なのか、本来の目標達成に貢献しているのかを判断できます。

目的が曖昧な業務や、過去の経緯で続いているだけの業務は、見直しや廃止の候補となるでしょう。担当者を明確にすることで、業務の責任範囲がはっきりし、属人化している業務や負荷が偏っている状況も把握できます。複数人で分担している業務の場合は、それぞれの役割分担も記録しておくと良いでしょう。実施頻度については、日次、週次、月次、不定期など、どのくらいの周期で行われているのかを記録します。

頻度を把握することで、定期的に行われている業務の自動化や効率化の可能性を検討しやすくなります。これらの情報を整理した業務一覧表を作成すれば、次のステップである改善対象の選定がスムーズに進められるはずです。

改善対象を分類して優先順位を決める

業務の全体像が把握できたら、どの業務を改善すべきか優先順位をつけていきます。すべての業務を一度に改善することは現実的ではないため、効果の高いものから着手することが重要です。業務を分類する際は、廃止できる業務、削減できる業務、効率化できる業務、継続すべき業務といったカテゴリに分けると整理しやすいでしょう。

廃止できる業務は、目的が不明確なものや成果に結びついていないものが該当します。削減できる業務は、頻度を減らしたり簡素化したりできるもので、効率化できる業務は自動化やツール導入で改善できるものです。

優先順位を決める際は、改善による効果の大きさと実施の難易度を考慮し、効果が高く実施しやすいものから取り組むと良いでしょう。また、複数の部署に影響する業務や、コスト削減効果の大きい業務も優先度を高めるべきです。優先順位が決まったら、具体的な改善計画を立て、実行に移していきます。

業務棚卸を効率化できるツール例

業務棚卸を手作業で進めると、情報の収集や整理に多くの時間がかかってしまいます。効率的に業務棚卸を実施するには、適切なツールを活用することが有効です。

ここでは、業務の可視化や情報共有に役立つ代表的なツールを2つ紹介します。それぞれのツールには特徴があり、組織の規模や業務の複雑さに応じて使い分けることで、業務棚卸のプロセスを効率化できます。

kintone|kintoneで業務情報を可視化する

kintoneは、サイボウズが提供する業務アプリ構築プラットフォームで、業務棚卸に必要な情報を一元管理できます。プログラミングの知識がなくても、ドラッグ&ドロップの操作で業務一覧表やタスク管理アプリを簡単に作成でき、業務の洗い出しから整理までをスムーズに進められるでしょう。

業務ごとに、担当者、目的、頻度、所要時間、使用ツールなどの項目を設定し、データとして蓄積していけば、集計や分析も容易になります。フィルタ機能を使えば、特定の部署の業務だけを抽出したり、頻度別に業務を分類したりすることも可能です。

また、コメント機能やプロセス管理機能を活用することで、チームメンバー間での情報共有や、改善施策の進捗管理もできます。業務フローを視覚的に表現するプラグインも利用でき、複雑な業務プロセスを分かりやすく整理できるでしょう。kintoneを活用すれば、業務棚卸の情報を継続的に更新し、定期的な見直しにも対応できる仕組みを構築できます。

出典参照:Kintoneは、AIとノーコード・ローコードで現場の業務にフィットする業務アプリがつくれる|サイボウズ株式会社

Notion|タスクや業務一覧を可視化して共有する

Notionは、ドキュメント作成とデータベース管理を統合したオールインワンツールで、業務棚卸の情報整理に適しています。業務一覧をデータベースとして作成し、各業務の詳細情報をページとして紐付けることで、体系的に情報を管理できるでしょう。データベースビューを切り替えることで、業務を表形式、カンバン形式、カレンダー形式など、目的に応じた表示方法で確認できます。

例えば、業務の優先順位をカンバンボードで管理したり、定期業務をカレンダービューで可視化したりすることが可能です。また、業務フローをページ内に図やチェックリストとして記録しておけば、手順の標準化にも役立ちます。チームメンバーとのリアルタイム共有機能があり、コメントやメンションを使って意見交換しながら業務棚卸を進められる点も便利です。

テンプレート機能を活用すれば、業務棚卸のフォーマットを保存しておき、次回以降も同じ形式で効率的に実施できます。Notionを使えば、業務棚卸の情報を組織のナレッジベースとして蓄積し、継続的な改善活動に活用できるでしょう。

出典参照:Notion (ノーション) – あなたのニーズを叶えるAIワークスペース。|Notion Labs Japan合同会社

業務棚卸の実施は『CLOUD BUDDY』へご相談ください

業務棚卸を実施したいものの、どこから手をつければよいか分からない、社内だけでは客観的な視点が持てないといった悩みを抱えている企業も多いでしょう。

『CLOUD BUDDY』では、業務棚卸の計画立案から実施支援、改善施策の提案、業務代行まで、トータルでサポートしています。豊富な業務改善の実績をもとに、お客様の業務内容や組織体制に合わせた最適な棚卸手法を提案し、効率的に業務の可視化を進められます。

さらに、業務棚卸で明らかになった課題に対して、ツール導入や業務フロー再設計など、具体的な改善策の実行までを一貫して支援しますので、成果につながる業務改善を実現できるでしょう。業務棚卸を通じて組織の生産性を高めたいとお考えの方は、ぜひ『CLOUD BUDDY』へお気軽にご相談ください。

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まとめ|業務棚卸の正しいやり方で生産性を高めよう

業務棚卸は、業務の可視化、ムダや重複の発見、属人化の解消を目的とした重要な取り組みです。正しく実施するには、現行業務を漏れなく洗い出してフローを整理し、業務ごとの目的や担当、頻度を明確にしたうえで、改善対象を分類して優先順位を決めることが求められます。

手作業で進めると時間がかかるため、kintoneやNotionといったツールを活用すれば、情報の整理や共有を効率化できるでしょう。業務棚卸は一度実施して終わりではなく、定期的に見直しを行い、継続的な改善につなげることが重要です。

組織を取り巻く環境や業務内容は常に変化していくため、定期的な棚卸によって常に最適な業務体制を維持できます。今回紹介した手順やツールを参考に、自社の業務棚卸に取り組み、ムダをなくして生産性を高める組織づくりを目指してください。

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