請求業務が属人化していて、担当者が不在になると対応できなくなる、月末月初に業務が集中して残業が増える、といった課題を抱えている企業は少なくありません。こうした問題を解決するには、請求業務の標準化が欠かせません。標準化とは、誰が担当しても同じ品質で業務を遂行できるように、手順やルールを統一する取り組みを指します。
本記事では、請求業務を標準化するための具体的なステップと、標準化を維持する仕組みづくり、さらに業務効率化を支援するツールまで、実践的な内容を詳しく紹介していきます。記事を読めば、自社の請求業務をどのように改善すればよいか、明確な指針が得られるでしょう。
目次
Toggle請求業務を標準化する前の現状把握
請求業務の標準化を進める際には、まず現状を正確に把握することから始めましょう。現状把握が不十分なまま標準化を進めても、本質的な課題を見落としてしまい、効果的な改善につながりません。自社の請求業務がどのような流れで進んでいるのか、どこにボトルネックがあるのかを明確にすることで、優先的に取り組むべき課題が見えてきます。
現状把握のプロセスでは、業務フローの可視化、手作業が多い工程の洗い出し、部署間連携の問題点の特定という3つの視点が重要になります。これらを丁寧に分析することで、標準化の方向性を定める土台が築けるでしょう。
請求書作成から入金までのフローを可視化する
請求業務の全体像を把握するには、請求書作成から入金確認までの一連の流れを図式化して可視化することが効果的です。具体的には、受注情報の確認、請求データの作成、上長承認、請求書の発行、郵送または電子送付、入金確認、消込処理、督促対応といった各プロセスを時系列で整理します。
この際、各工程にどれくらいの時間がかかっているのか、誰が担当しているのか、どのシステムやツールを使用しているのかも併せて記録しましょう。フローを可視化すると、想像以上に複雑な工程を経ていることや、特定の担当者に業務が集中していることが明らかになります。
また、システム間でデータを手入力で転記している箇所や、紙の書類を複数部署で回覧している非効率な部分も浮き彫りになるでしょう。可視化によって得られた情報は、標準化における改善ポイントを特定するための重要な資料となります。
手作業や個別対応の多い工程を洗い出す
請求業務の中で手作業が多い工程は、ミスが発生しやすく、属人化しやすい傾向があります。手作業による請求書作成、エクセルでの集計作業、メールでの個別確認、紙の請求書への押印作業など、人の手を介する工程が多いほど、標準化の余地は大きいといえるでしょう。
また、取引先ごとに異なる請求条件や支払いサイト、請求書のフォーマットなど、個別対応が必要な業務も洗い出す必要があります。個別対応が多いと、担当者は毎回判断を迫られることになり、業務の効率が下がります。手作業や個別対応が多い工程を特定したら、それぞれについて標準化できる部分とできない部分を仕分けしましょう。
標準化できる部分は統一ルールを設け、どうしても個別対応が必要な部分は、対応手順をマニュアル化して誰でも対応できるようにします。こうした洗い出しと仕分けの作業が、実効性のある標準化につながります。
部署間の連携ミスや情報断絶を明確にする
請求業務は営業部門、経理部門、カスタマーサポート部門など、複数の部署が関わることが一般的です。しかし、部署間で情報共有が不足していると、請求漏れや二重請求といったトラブルが発生しやすくなります。営業部門が受注した内容が経理部門に正確に伝わっていない、契約変更の情報が請求担当者に届いていない、入金情報が営業部門と共有されていないといった問題は、多くの企業で見られる課題です。
こうした部署間の連携ミスや情報断絶を明確にするには、各部署の担当者にヒアリングを行い、情報の流れを確認することが有効でしょう。どの情報がどのタイミングで、どのような方法で伝達されているのかを調査します。情報共有が口頭やメールで行われている場合、記録が残らず後から確認できないという問題もあります。
部署間連携の課題を洗い出したら、情報共有の方法やタイミングを標準化し、システムを活用した自動連携を検討することで、ミスを減らせるでしょう。
請求業務の標準化を維持する仕組みづくり
請求業務の標準化は、一度ルールを定めて終わりではありません。標準化した業務フローやルールを継続的に維持し、改善していく仕組みが必要です。人事異動や組織変更、取引先の増加など、ビジネス環境の変化に応じて、標準化のルールも見直していかなければなりません。
標準化を維持するためには、権限管理と承認フローの整備、定量的なモニタリング、ナレッジ共有の促進という3つの要素が重要になります。これらの仕組みを構築することで、標準化が形骸化せず、実効性を保ち続けることができるでしょう。
権限管理と承認フローを見直して内部統制を強化する
請求業務の標準化を維持するには、誰がどの業務を行う権限を持つのか、どのような承認フローを経るのかを明確にすることが不可欠です。権限が曖昧だと、不正や誤操作のリスクが高まり、標準化したルールが守られなくなります。請求書の発行権限、金額変更の承認権限、入金消込の実行権限など、業務ごとに適切な権限設定を行いましょう。
また、承認フローを整備することで、複数の目でチェックする体制が構築され、ミスの早期発見につながります。承認フローは複雑すぎると業務スピードが落ちるため、バランスを考慮した設計が求められるでしょう。
権限管理と承認フローを適切に設定することで、内部統制が強化され、標準化されたルールが確実に運用されるようになります。システムを活用すれば、権限に応じた操作制限や自動承認ルートの設定も容易になるため、導入を検討する価値があります。
KPIを設定して効果を定量的にモニタリングする
請求業務の標準化がどれだけ効果を上げているのかを把握するには、KPIを設定して定量的にモニタリングすることが重要です。KPIとは重要業績評価指標のことで、業務の成果を数値で測定する指標を指します。
請求業務におけるKPIとしては、請求書発行までのリードタイム、請求ミスの発生件数、入金遅延率、督促対応にかかる時間、業務処理時間の削減率などが挙げられるでしょう。これらの指標を定期的に測定し、標準化前と比較することで、改善効果を客観的に評価できます。KPIが目標値に達していない場合は、原因を分析して追加の改善策を講じる必要があります。
逆に、目標を上回る成果が出ている場合は、その要因を特定して他の業務にも展開できるでしょう。定量的なモニタリングを継続することで、標準化の取り組みが形骸化せず、常に改善サイクルが回り続ける組織文化が醸成されます。
社内横断でナレッジ共有を促進する
請求業務の標準化を維持するには、担当者個人に蓄積された知識やノウハウを組織全体で共有する仕組みが必要です。ベテラン担当者が持つ業務のコツやトラブル対応の経験は、組織にとって貴重な資産といえるでしょう。
しかし、こうしたナレッジが共有されていないと、担当者が異動や退職した際に業務が滞ってしまいます。ナレッジ共有を促進するには、業務マニュアルの整備、FAQ集の作成、事例データベースの構築などが有効です。また、定期的な勉強会や情報共有会を開催し、部署を超えた意見交換の場を設けることも効果的でしょう。
ナレッジ共有の仕組みを構築する際は、情報を更新しやすく、検索しやすい環境を整えることが重要です。クラウド型のドキュメント管理ツールやチャットツールを活用すれば、リアルタイムでの情報共有が容易になります。社内横断でナレッジを共有することで、標準化されたルールが組織に定着し、誰が担当しても安定した業務運営が実現するでしょう。
請求業務の標準化を支えるツール例
請求業務の標準化を効率的に進めるには、適切なツールの導入が不可欠です。手作業による業務をシステム化することで、ミスの削減や業務時間の短縮が期待できます。
ここでは、請求業務の標準化を支援する代表的なツールを紹介します。各ツールの特徴を理解し、自社の課題や業務フローに合ったものを選定することが重要です。
請求管理ロボ|請求管理ロボで請求業務を自動化できる
請求管理ロボは、株式会社ROBOT PAYMENTが提供する請求管理システムで、請求書の発行から入金管理、消込、督促まで一連の業務を自動化できるツールです。このシステムの特徴は、既存の基幹システムやCRMとの連携が容易で、請求データを自動取得して請求書を発行できる点にあります。手作業で行っていた請求書作成の工程を削減し、人為的なミスを防止できるでしょう。
また、入金データを自動で取り込み、請求データと照合して消込処理を行う機能も搭載されています。入金確認や消込作業にかかる時間を削減でき、経理担当者の負担を軽減します。さらに、未入金の取引先に対して自動で督促メールを送信する機能もあり、督促業務の標準化にも貢献するでしょう。
請求管理ロボは、請求業務全体を一元管理できるため、部署間の情報共有もスムーズになります。請求業務の標準化と効率化を同時に実現したい企業にとって、有力な選択肢となるツールです。
出典参照:請求管理システムなら「 請求管理ロボ 」|株式会社ROBOT PAYMENT
マネーフォワード クラウド請求書|クラウド請求書で請求・会計を一元管理できる
マネーフォワード クラウド請求書は、株式会社マネーフォワードが提供するクラウド型の請求書作成・管理サービスです。このツールの特徴は、マネーフォワード クラウド会計との連携により、請求業務と会計業務を一元管理できる点にあります。
請求書を作成すると自動で仕訳データが生成され、会計システムに反映されるため、データの二重入力が不要になるでしょう。請求書のテンプレートは自由にカスタマイズでき、取引先ごとに異なるフォーマットにも対応しています。また、定期的に発行する請求書については、自動作成・送付の設定ができるため、毎月の定型業務を削減できます。請求書は電子送付にも対応しており、郵送コストや作業時間の削減にもつながるでしょう。
入金管理機能では、銀行口座と連携して入金情報を自動取得し、請求データと照合できます。マネーフォワード クラウド請求書は、中小企業を中心に幅広く利用されており、使いやすさと機能性のバランスが取れたツールといえます。請求業務と会計業務を統合して標準化したい企業に適しているでしょう。
出典参照:マネーフォワード クラウド請求書 – 請求書作成ソフト|株式会社マネーフォワード
楽楽明細|楽楽明細で請求書発行を自動化・電子化できる
楽楽明細は、株式会社ラクスが提供する請求書や支払明細などの帳票を電子化するクラウドサービスです。このツールは、紙の請求書発行業務を電子化することに特化しており、印刷・封入・郵送といった手作業を削減できます。
既存の基幹システムから請求データをCSVなどで出力し、楽楽明細にアップロードするだけで、取引先ごとに設定した方法で請求書を発行できるでしょう。電子メール、Web発行、郵送代行など、複数の発行方法に対応しているため、取引先の希望に応じた柔軟な対応が実現します。特に郵送代行サービスを利用すれば、紙の請求書が必要な取引先に対しても、印刷・封入・投函作業を自動化できるため、業務の標準化が進むでしょう。
楽楽明細は、請求書以外にも納品書や支払明細など、さまざまな帳票に対応しているため、企業全体の帳票業務を電子化・標準化するプラットフォームとして活用できます。取引先が多く、請求書の発行形態が多様な企業にとって、業務効率化と標準化を両立できる有効なツールとなるでしょう。
Bill One|Bill Oneで請求書の受領・管理を標準化できる
Bill Oneは、Sansan株式会社が提供する請求書受領サービスで、取引先から届く請求書をデジタルデータ化して一元管理できるツールです。このサービスの特徴は、紙やメールで届く請求書をBill Oneのオペレーターがデータ化し、システム上で確認・承認できる点にあります。
請求書の受領方法が取引先ごとに異なっていても、Bill One上で統一的に管理できるため、業務の標準化が進むでしょう。データ化された請求書は、自動で仕訳データに変換され、会計システムに連携できるため、入力作業の削減にもつながります。また、請求書の承認フローをシステム上で設定できるため、承認状況の可視化や承認漏れの防止にも効果的です。
Bill Oneは、特に請求書の受領業務が煩雑で、複数の担当者が紙の請求書を回覧しているような企業に適しています。請求書受領から支払いまでのプロセスを標準化し、内部統制を強化したい企業にとって、導入価値の高いツールといえるでしょう。
出典参照:急成長中の請求書受領サービス市場において、「Bill One」が2年連続マーケットシェアNo.1を獲得~|Sansan株式会社
請求業務の標準化は『CLOUD BUDDY』へご相談ください
請求業務の標準化を進める際には、自社の業務フローに合ったツール選定や導入後の運用設計が重要になります。しかし、多くの企業では社内にシステム導入の専門知識を持つ人材が不足しており、最適なツールの選定や設定に苦労するケースが少なくありません。
『CLOUD BUDDY』は、クラウドサービスの導入支援も含めた請求管理業務の安定運用を支援する企業で、請求管理システムの選定から導入、運用までを一貫してサポートしています。豊富な導入実績に基づいたノウハウを活かし、企業ごとの課題や業務フローに応じた最適なソリューションを提案できるでしょう。
また、導入後の運用支援や活用方法のアドバイスも行っており、システムを導入しただけで終わらせず、確実に業務標準化の効果を得られるよう支援します。請求業務の標準化に取り組む際は、『CLOUD BUDDY』にご相談ください。
まとめ|請求業務の標準化で効率化と安定運用を実現しよう
請求業務の標準化は、属人化を解消し、業務効率を向上させるための重要な取り組みです。標準化を進めるには、まず現状の業務フローを可視化し、手作業や個別対応が多い工程、部署間連携の課題を明確にすることから始めましょう。
その上で、権限管理や承認フローの整備、KPIによるモニタリング、ナレッジ共有の仕組みを構築することで、標準化を継続的に維持できます。また、請求管理システムやクラウドサービスを活用することで、業務の自動化と標準化を同時に実現できるでしょう。
自社に適したツールを選定し、適切に導入・運用することが成功の鍵となります。請求業務の標準化に取り組むことで、ミスの削減、業務時間の短縮、内部統制の強化といった効果が得られ、安定した業務運営が実現するでしょう。






