バックオフィス業務の負担が増え続け、本来注力すべきコア業務に時間を割けなくなっていませんか。人事や経理といったバックオフィス業務は企業運営に不可欠ですが、専門性が求められる上に法改正への対応も必要で、社内リソースだけでは対応しきれないケースが増えています。
こうした課題を解決する有効な手段が、バックオフィス業務のアウトソースです。アウトソースとは、社内業務の一部または全部を外部の専門企業に委託することを指します。
本記事では、バックオフィスをアウトソースする最適なタイミングと判断基準、さらに代表的なサービス例まで、実践的な内容を詳しく紹介していきます。記事を読めば、自社がアウトソースを検討すべきタイミングかどうか、どのような基準で判断すればよいかが明確になるでしょう。
バックオフィスアウトソースの最適なタイミング
バックオフィス業務のアウトソースを検討するタイミングは、企業の成長段階や組織の状況によって異なります。適切なタイミングでアウトソースを導入することで、業務効率の向上とコスト最適化を同時に実現できるでしょう。
一方で、タイミングを誤ると、期待した効果が得られなかったり、かえって業務が混乱したりするリスクもあります。アウトソースを検討すべき代表的なタイミングとしては、業務量の急増、属人化の顕在化、法改正への対応といった場面が挙げられます。これらのシグナルを見逃さず、早めに検討を始めることが重要です。
業務量が増加し社内リソースが限界に達したとき
事業拡大や取引先の増加に伴い、バックオフィス業務の量が増えていくのは自然な流れです。しかし、業務量が増えても人員を増やせない状況では、既存の担当者の負担が過度に大きくなり、残業時間の増加やミスの発生につながります。月末月初に業務が集中して深夜まで残業が続いている、休暇を取得できない状況が常態化している、ミスが頻発して取引先からクレームが来るといった状況は、社内リソースが限界に達しているサインでしょう。
こうした状況を放置すると、担当者の離職や業務品質の低下を招きかねません。業務量の増加に対して人員を増やすことも1つの選択肢ですが、採用や教育にはコストと時間がかかります。社内リソースが限界に達したと感じたら、アウトソースを検討する最適なタイミングといえるでしょう。
人員異動や退職で属人化が顕在化したとき
バックオフィス業務は専門性が高く、長年同じ担当者が業務を行っていることが多いため、属人化しやすい傾向があります。属人化とは、特定の担当者しか業務の詳細を把握しておらず、その人がいなければ業務が回らない状態を指します。
ベテラン担当者が退職や異動になった際、後任者への引き継ぎがうまくいかず、業務が停滞してしまうケースは少なくありません。業務マニュアルが整備されていない、システムの操作方法が共有されていない、取引先との個別の取り決めが文書化されていないといった状況では、引き継ぎに膨大な時間がかかるでしょう。
また、引き継ぎ期間中にミスが発生しやすく、業務品質の維持が困難になります。人員異動や退職によって属人化が顕在化したタイミングは、業務プロセスを見直し、標準化する絶好の機会です。アウトソース先の専門企業は、標準化されたプロセスとノウハウを持っているため、属人化を解消しながら業務品質を維持できるでしょう。
法改正や会計基準変更に即時対応が求められるとき
バックオフィス業務、特に経理や人事労務の分野では、法律や会計基準の改正に対応する必要があります。電子帳簿保存法の改正、インボイス制度の導入、働き方改革関連法への対応など、近年は法改正が頻繁に行われており、その都度システム変更や業務フローの見直しが求められます。
社内で対応しようとすると、法改正の内容を理解し、システムを更新し、担当者を教育するといった一連の作業が必要になるでしょう。これらの対応には専門知識と多くの時間が必要で、本来のコア業務に支障をきたす可能性があります。また、対応が遅れると、法令違反やペナルティのリスクも生じます。
アウトソース先の専門企業は、法改正や会計基準の変更に関する最新情報を常に把握しており、迅速に対応できる体制を整えています。法改正への対応が頻繁に求められる環境では、アウトソースを活用することで、コンプライアンスを確保しながら業務を安定的に運営できるでしょう。
バックオフィスをアウトソースする判断基準
バックオフィス業務のアウトソースを検討する際には、感覚的な判断ではなく、明確な基準に基づいて意思決定することが重要です。適切な判断基準を設定することで、アウトソースすべき業務とそうでない業務を区別でき、投資対効果を最大化できます。
判断基準としては、業務の性質、コスト、品質・スピード・セキュリティといった観点が挙げられるでしょう。これらの基準を総合的に評価することで、自社にとって最適なアウトソース戦略を策定できます。
コア業務とノンコア業務を明確に区別する
アウトソースを検討する際の最初のステップは、自社のコア業務とノンコア業務を明確に区別することです。コア業務とは、企業の競争優位性を生み出す中核的な業務を指し、商品開発、マーケティング、顧客対応といった活動が該当します。
一方、ノンコア業務は企業運営に必要ではあるものの、直接的な競争優位性には結びつかない業務で、経理、人事、総務といったバックオフィス業務が代表例でしょう。コア業務は自社で継続的に強化していくべきですが、ノンコア業務については、外部の専門企業に委託することで、社内リソースをコア業務に集中できます。
ただし、ノンコア業務だからといって、すべてをアウトソースすべきというわけではありません。自社の戦略上重要な判断が必要な業務や、機密情報を扱う業務については、慎重に検討する必要があるでしょう。
外部委託コストと内製コストを比較する
アウトソースの判断において、コスト面の評価は欠かせません。外部委託コストと内製コストを正確に比較することで、アウトソースの経済的メリットを定量的に把握できます。
内製コストには、人件費だけでなく、採用コスト、教育研修費、システム導入・運用費、オフィススペース費用なども含まれます。これらの費用を総合的に計算すると、想像以上に高額になるケースも少なくありません。一方、外部委託コストは、契約内容によって異なりますが、多くの場合、業務量に応じた変動費として扱えるため、固定費を削減できるメリットがあります。コスト比較を行う際は、短期的な視点だけでなく、中長期的な視点も含めて評価することが重要でしょう。
事業拡大に伴う将来的な業務量増加を見込んだ場合、内製では人員増加が必要になりますが、アウトソースであれば柔軟に対応できます。また、システム更新や法改正対応のコストも考慮する必要があります。正確なコスト比較を行うことで、アウトソースの投資対効果を客観的に判断できるでしょう。
品質・スピード・セキュリティの基準を設定する
アウトソースを検討する際には、コスト面だけでなく、品質、スピード、セキュリティといった観点からも基準を設定する必要があります。品質基準としては、エラー率、納期遵守率、顧客満足度といった指標を設定し、アウトソース先がこれらの基準を満たせるかを評価しましょう。
専門企業は標準化されたプロセスと豊富な経験を持っているため、多くの場合、社内で対応するよりも高品質なサービスを提供できます。スピード基準としては、業務処理時間、問い合わせ対応時間、イレギュラー対応の所要時間などを設定します。アウトソース先の対応スピードが自社の要求水準を満たしているか、事前に確認することが重要です。
セキュリティ基準については、特に慎重な評価が求められます。アウトソース先に機密情報や個人情報を提供する場合、情報管理体制、セキュリティ認証の取得状況、情報漏えい対策などを詳細に確認する必要があります。これらの基準を明確に設定し、アウトソース先の選定時に活用することで、期待通りのサービスを受けられるでしょう。
バックオフィスのアウトソースを支えるサービス例
バックオフィス業務のアウトソースを検討する際には、自社の課題に合ったサービス提供企業を選定することが重要です。
ここでは、バックオフィスアウトソースを支援する代表的なサービスを紹介します。各サービスの特徴を理解し、自社のニーズに最適なものを選ぶことで、アウトソースの効果を最大化できるでしょう。
パーソルプロセス＆テクノロジー株式会社｜BPOで人事・経理を最適化できる
パーソルプロセス＆テクノロジー株式会社は、人材サービス大手のパーソルグループの一員として、幅広いBPOサービスを提供している企業です。BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシングの略で、企業の業務プロセス全体を外部に委託するサービスを指します。
同社のサービスの特徴は、人事や経理といったバックオフィス業務の広範囲をカバーしており、給与計算、勤怠管理、採用業務、経費精算、請求書処理など、多岐にわたる業務を一括して委託できる点にあります。
パーソルグループが長年培ってきた人事領域の知見を活かし、人材管理や労務管理に関する専門的なアドバイスも提供しています。さらに、業務の標準化と自動化を組み合わせたサービス設計により、高品質かつ低コストでの業務遂行を実現しています。人事・経理業務の負担を軽減し、コア業務に経営資源を集中させたい企業にとって、有力な選択肢となるサービスでしょう。
出典参照：パーソルビジネスプロセスデザイン｜パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社
株式会社オービックビジネスコンサルタント（OBC）｜奉行シリーズBPOで経理業務を委託できる
株式会社オービックビジネスコンサルタント、通称OBCは、企業向け業務ソフトウェアの開発・販売で高いシェアを持つ企業です。同社が提供する奉行シリーズは、会計、給与、人事、販売管理など、企業の基幹業務を支えるシステムとして広く利用されています。
OBCのBPOサービスは、この奉行シリーズを活用した経理業務のアウトソースを提供しており、システムと業務代行を組み合わせた一体型のサービスが特徴です。具体的には、仕訳入力、経費精算処理、請求書発行、月次決算支援といった経理業務を、OBCの専門スタッフが代行します。既に奉行シリーズを導入している企業であれば、システムの移行なしにスムーズにBPOサービスを利用開始できる点がメリットでしょう。
また、経理業務に精通した専門スタッフが対応するため、正確性と効率性を両立した業務遂行が期待できます。さらに、決算業務や税務申告に関するサポートも提供しており、経理部門の負担を包括的に軽減できます。経理業務の属人化を解消し、安定した業務運営を実現したい企業に適したサービスといえるでしょう。
出典参照：奉行クラウドBPaaS 経理・人事労務業務の“アウトソーシング” でさらなる企業の成長をサポート｜株式会社オービックビジネスコンサルタント
株式会社NTTデータビジネスシステムズ｜バックオフィス業務の自動化・最適化を支援できる
株式会社NTTデータビジネスシステムズは、NTTデータグループの一員として、業務システムの構築やBPOサービスを提供している企業です。同社のバックオフィスアウトソースサービスの特徴は、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAIといった最新技術を活用し、業務の自動化と最適化を推進している点にあります。
単純な業務代行ではなく、テクノロジーを駆使して業務プロセス全体を改革し、効率性と品質を向上させることを目指しています。具体的には、定型的な入力作業や転記作業をRPAで自動化し、人的ミスを削減するとともに、処理スピードを向上させるでしょう。
NTTグループが培ってきた豊富なシステム開発経験とセキュリティノウハウを活かし、高度な情報管理体制のもとでサービスを提供している点も強みです。バックオフィス業務の効率化だけでなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進したい企業にとって、有効なパートナーとなるサービスです。
出典参照：「働き方改革推進に向けて、業務の整理と効率化を図りたい」｜株式会社NTTデータビジネスシステムズ
バックオフィス業務のアウトソースは『CLOUD BUDDY』へご相談ください
バックオフィス業務のアウトソースを検討する際には、自社の課題や目標に合った最適なサービスを選定することが成功の鍵となります。しかし、多数のアウトソースサービスが存在する中で、どのサービスが自社に適しているのかを判断するのは容易ではありません。
『CLOUD BUDDY』は、クラウドサービスやバックオフィスシステムの導入を支援しており、企業のアウトソース戦略の策定から実行まで、包括的にサポートしています。豊富な導入実績に基づき、企業ごとの業務内容や課題に応じた最適なアウトソース体制を提供し、導入後の運用フォローまで一貫して対応します。
バックオフィス業務のアウトソースを検討している企業は、『CLOUD BUDDY』にご相談ください。
まとめ｜最適なタイミングでバックオフィス業務をアウトソースして効率化と安定運用を実現しよう
バックオフィス業務のアウトソースは、業務効率化と経営資源の最適化を実現するための有効な手段です。アウトソースを検討する最適なタイミングは、業務量の増加で社内リソースが限界に達したとき、人員異動や退職で属人化が顕在化したとき、法改正への即時対応が求められるときなどが挙げられます。これらのタイミングを見極め、早めに検討を開始することが重要でしょう。
アウトソースの判断基準としては、コア業務とノンコア業務の区別、外部委託コストと内製コストの比較、品質・スピード・セキュリティの基準設定といった観点から総合的に評価する必要があります。適切なタイミングで最適なアウトソース戦略を実行することで、業務効率化と安定運用を両立させましょう。
