売上は維持できているのに利益が伸びない、コスト削減に取り組んでいるのに効果が実感できないといった悩みを抱えていませんか。企業の収益性を改善するには、変動費だけでなく、毎月必ず発生する固定費の見直しが不可欠です。
しかし、どこから手をつければよいか分からず、削減施策が後回しになってしまうケースも少なくありません。
本記事では、固定費削減が経営にもたらす効果から、固定費と変動費の違い、そして具体的な削減方法まで詳しく解説していきますので、利益体質の強化を目指している経営者や管理部門の方はぜひ参考にしてください。
目次
Toggle固定費削減は利益体質への第一歩
固定費削減は、単なるコストカットではなく、企業の収益構造を改善し、持続可能な経営基盤を築くための戦略的な取り組みです。まずは、なぜ固定費削減が重要なのか、どのような視点で取り組むべきかを理解していきましょう。
固定費削減は「強い経営基盤」をつくる戦略
固定費は売上に関係なく毎月発生するコストであり、企業の損益分岐点を左右する重要な要素です。固定費が高いほど、利益を出すために必要な売上高も高くなり、経営の安定性が損なわれます。
逆に、固定費を削減できれば、少ない売上でも利益を確保できる体質に変わり、景気変動や市場環境の変化に強い経営基盤が築けるでしょう。また、固定費削減によって生まれた資金を、新規事業や設備投資、人材育成などの成長投資に振り向けることも可能になります。削減した固定費を戦略的に再配分することで、企業の競争力を高められるでしょう。
さらに、固定費削減の取り組みは、組織全体のコスト意識を高める効果もあります。無駄を見直す習慣が根付くことで、継続的な改善文化が醸成され、長期的な収益性向上につながるはずです。
継続的に見直せる仕組み化が重要
固定費削減は一度実施すれば終わりというものではなく、継続的に見直していく必要があります。契約内容や市場価格は変化するため、定期的にチェックしなければ、気づかないうちに無駄なコストが積み重なってしまいます。
例えば、数年前に契約した通信サービスが、現在のプランと比べて割高になっているケースは少なくありません。また、使われていないサブスクリプションサービスや、参加していない団体の会費なども、見直しのタイミングを逃すと放置されがちです。継続的な見直しを実現するには、定期的なレビューの仕組みを作ることが重要です。
例えば、四半期ごとに固定費の棚卸を行い、各費目について必要性やコストパフォーマンスを評価する習慣をつけましょう。また、削減の効果を数値で可視化し、経営層や従業員と共有することで、コスト意識が維持されるはずです。
固定費とは何か
固定費とは、売上や生産量に関係なく、一定期間に必ず発生する費用のことです。代表的なものとして、人件費、オフィス賃料、減価償却費、保険料、通信費、サブスクリプションサービスの利用料などが挙げられます。これらのコストは、事業活動を継続するために必要不可欠な費用である一方、売上が減少しても削減できないため、業績悪化時には企業の経営を圧迫する要因になります。固定費の特徴は、短期的には削減が難しいものが多いことです。
例えば、オフィスの賃貸契約は通常2年以上の契約期間があり、すぐに解約できません。また、人件費も採用や教育に投資してきた資産であり、簡単に削減すべきではないでしょう。
しかし、長期的な視点で見直しを行えば、不要なコストを削減し、効率的な経営体制を構築できます。固定費を正確に把握し、定期的に見直すことが、健全な財務体質を維持する鍵となります。
変動費とは
変動費とは、売上や生産量に比例して増減する費用のことです。製造業であれば原材料費や外注加工費、小売業であれば商品仕入原価、サービス業であれば販売手数料やクレジットカード決済手数料などが変動費に該当します。
変動費は売上が増えれば増加し、売上が減れば減少するため、固定費に比べて経営への影響は相対的に小さいといえます。ただし、変動費率(売上に対する変動費の割合)が高いと、利益率が低下してしまうため、変動費の管理も重要です。仕入先との価格交渉や、業務プロセスの効率化により、変動費率を下げることができれば、利益率の向上につながるでしょう。
固定費と変動費を明確に区別して管理することで、損益構造を正確に把握し、効果的なコスト削減戦略を立てられるようになります。両者のバランスを最適化することが、収益性の高い経営を実現するポイントです。
固定費削減の具体的な方法
固定費削減の重要性を理解したところで、次は具体的にどの費目をどのように削減すればよいのかを見ていきましょう。ここでは、主要な固定費項目ごとに、実践的な削減方法を紹介しますので、自社の状況に合わせて取り組んでください。
人件費の見直し
人件費は多くの企業で固定費の中で最も大きな割合を占めますが、安易な削減は従業員のモチベーション低下や離職につながるため慎重な判断が必要です。まず検討すべきは、業務の効率化による残業時間の削減です。業務プロセスを見直し、無駄な作業を排除したり、ツールを導入して自動化したりすることで、残業代を削減できます。
また、外部委託の活用も有効です。専門性の高い業務や一時的に発生する業務については、正社員を雇用するよりも外部の専門家に委託する方がコスト効率が良い場合があります。さらに、採用コストの見直しも重要です。採用手法を見直し、紹介採用やリファラル採用を強化することで、求人広告費や人材紹介手数料を削減できるでしょう。人件費削減では、単に人を減らすのではなく、生産性を高めながら適正な人員配置を実現することが求められます。
オフィス賃料・設備費の見直し
オフィス賃料は固定費の中でも金額が大きく、削減効果が高い項目です。リモートワークの普及により、従来ほど広いオフィスが不要になった企業も多いでしょう。オフィスの移転や縮小を検討し、賃料の安い物件に移るか、シェアオフィスやコワーキングスペースの活用を検討する価値があります。
また、賃貸契約の更新時には、オーナーと交渉して賃料の減額を依頼することも可能です。市場相場や周辺物件の賃料を調査し、データに基づいた交渉を行えば、減額に応じてもらえるケースもあるはずです。
設備費については、リースやレンタルの活用により、初期投資を抑えつつ必要な設備を利用できます。オフィス家具やOA機器などは、購入するよりもリースの方がコストを抑えられる場合があるため、比較検討しましょう。オフィス賃料と設備費の見直しは、まとまった削減効果が期待できる重要な施策です。
光熱費・通信費の削減
光熱費は、電力会社やガス会社の契約を見直すことで削減できる可能性があります。電力自由化により、複数の電力会社から選択できるようになったため、料金プランを比較して最適な契約に切り替えましょう。
また、LED照明への切り替えや、空調設備の運用見直しにより、使用量自体を削減することも効果的です。通信費については、携帯電話のプランや固定回線の契約内容を定期的に見直すことが重要です。格安SIMへの切り替えや、使用状況に合ったプランへの変更により、大幅なコスト削減が可能になります。特に、従業員に支給している携帯電話が多い企業では、全体で見ると大きな削減効果が得られるでしょう。
さらに、不要な固定電話回線を解約したり、インターネット回線をより安価なプロバイダーに変更したりすることも検討すべきです。光熱費と通信費は、契約内容の見直しだけで削減できるため、比較的取り組みやすい項目といえます。
車両費・交通費の削減
社用車を保有している企業では、車両費の見直しが有効です。使用頻度の低い車両は処分し、必要に応じてカーシェアリングやレンタカーを利用する方が、維持費を含めたトータルコストが低くなる場合があります。
また、社用車をリースに切り替えることで、車検や保険、メンテナンス費用をまとめて管理でき、予算の見通しが立てやすくなるでしょう。交通費については、オンライン会議の活用により、出張や訪問の頻度を減らすことで削減できます。顧客との打ち合わせや社内会議をオンライン化すれば、移動時間も削減でき、生産性の向上にもつながるはずです。
また、通勤手当についても、リモートワークの導入により出社日数が減った場合は、実費精算に切り替えることでコスト削減が可能になります。車両費と交通費の削減は、働き方改革と連動させることで、効果を最大化できる施策です。
保険料・福利厚生費の見直し
企業が加入している保険については、定期的に保障内容と保険料を見直すことが重要です。不要な特約を外したり、複数の保険会社で見積もりを取って比較したりすることで、保障内容を維持しながら保険料を削減できる可能性があります。
特に、長年同じ保険に加入している場合は、現在の市場相場と比較して割高になっているケースも少なくありません。福利厚生費については、利用率の低い福利厚生制度を見直し、従業員が本当に求めているサービスに集約することで、コストパフォーマンスを高められます。例えば、福利厚生パッケージサービスを活用すれば、多様な福利厚生メニューを低コストで提供できるでしょう。
また、従業員にアンケートを取り、どの福利厚生が評価されているのかを把握することで、無駄を省きながら満足度を維持できます。保険料と福利厚生費の見直しは、従業員への影響を考慮しながら慎重に進める必要がありますが、適切に実施すれば大きな削減効果が期待できます。
消耗品・印刷費の削減
オフィスで使用する消耗品や印刷費は、日々の積み重ねで大きなコストになります。まず、ペーパーレス化を推進し、印刷の必要性を見直しましょう。資料を電子化して共有することで、印刷枚数を削減できるだけでなく、保管スペースも削減できます。
また、両面印刷やモノクロ印刷をデフォルト設定にすることで、用紙やインク代を抑えられるでしょう。消耗品については、まとめ買いや一括発注により、ボリュームディスカウントを受けられる場合があります。複数の部署でバラバラに発注していた消耗品を、購買部門で一元管理することで、コスト削減と在庫管理の効率化が実現できます。
さらに、リサイクル品やジェネリック品の活用も検討すべきです。純正品にこだわらず、互換性のある安価な製品を使用することで、品質を維持しながらコストを抑えられるはずです。
サブスクリプション・会費の定期チェック
近年、クラウドサービスやソフトウェアのサブスクリプション契約が増えており、気づかないうちに利用していないサービスの料金を支払い続けているケースがあります。全社で契約しているサブスクリプションサービスをリストアップし、利用状況を確認しましょう。使われていないサービスは解約し、複数のサービスで機能が重複している場合は統合を検討します。
また、契約プランの見直しも重要です。利用人数や機能が実際の使用状況に合っているか確認し、過剰なプランになっていれば下位プランに変更することでコストを削減できます。団体や業界組織の会費についても、参加するメリットがあるのかを定期的に評価しましょう。
実質的な活動がなく、会費だけを支払っている団体があれば、脱退を検討すべきです。サブスクリプションや会費は、一つひとつは少額でも、全体では大きなコストになるため、四半期ごとに棚卸をする習慣をつけることが重要です。
固定費の削減は『CLOUD BUDDY』へご相談ください
固定費削減に取り組みたいものの、どこから手をつければよいか分からない、削減施策を実施するリソースが不足しているといった悩みを抱えている企業も多いでしょう。
『CLOUD BUDDY』では、ノンコア業務のアウトソーシング化を通じた、固定費の変動費化を実現するBPOサービスを提供しています。現状の固定費を分析し、アウトソーシングに適した業務を洗い出したうえで、優先順位をつけた外注計画を策定します。さらに、経理や労務、総務といったバックオフィス業務の代行から、業務フローの標準化、クラウドツールを活用した業務効率化まで、具体的なBPO施策の実行もサポートしますので、確実に固定費の削減と業務品質の向上につなげられるでしょう。
削減効果の測定と継続的な改善サイクルの構築も支援していますので、長期的なコスト削減体制を確立できます。固定費削減で利益体質を強化したいとお考えの方は、ぜひ『CLOUD BUDDY』へお気軽にご相談ください。
まとめ|固定費削減でコストパフォーマンスを改善しよう
固定費削減は、企業の損益分岐点を下げ、景気変動に強い経営基盤を築くための重要な戦略です。人件費、オフィス賃料、光熱費、通信費、車両費、保険料、消耗品、サブスクリプションなど、様々な固定費項目について、定期的に見直しを行うことで、無駄なコストを削減できます。削減施策では、単にコストを減らすだけでなく、業務効率化や働き方改革と連動させることで、生産性向上との両立が可能になります。
また、一度削減すれば終わりではなく、継続的に見直す仕組みを構築することが、長期的な効果を維持する鍵となるでしょう。固定費削減によって生まれた資金を、成長投資や人材育成に振り向けることで、企業の競争力をさらに高められます。
今回紹介した具体的な削減方法を参考に、自社の固定費を見直し、利益体質の強化とコストパフォーマンスの改善を実現してください。






